もやもやレビュー

"14日の月"の続きを覗く『劇場版 美しい彼〜eternal〜』

『劇場版 美しい彼〜eternal〜』 4月7日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開中

ドラマを2シーズン終えて満を持しての映画化となる本作。監督もドラマ版から引き続き酒井監督がメガホンをとってくれた。作品への愛が溢れるオープニングにスクリーンに1つ、また1つと2人の思い出の品々が映り込むだけで胸が熱くなり、そこに2人がただいるだけでもう尊い。

学園の底辺でパシリをしていた平良(荻原利久)とクラスの輪の中心でキングに君臨していた清居(八木勇征)。交わることがなさそうな2人が少しずつ惹かれあったドラマシリーズ。気持ちを伝え合えた後の2人をスクリーンで観ることができる。

eternal_sub1.jpg

本作の原作者は凪良ゆうで昨年映画化された『流浪の月』の作者でもある。どこにでもいる、誰でもなり得るかもしれないけれど少し勇気をもって自分の気持ちに正直になり、手を伸ばさないと獲られないようなその先の景色を見せてくれる作風が魅力的な作家である。登場人物も良くも悪くもマイワールドをしっかりと持っているのが特徴的で不器用な性格をうまく表現されていてそれが映像化されることととても相性が良いように感じる。
ストレートな感情表現が苦手な2人の間にある写真という平良の趣味が物語の鍵となり大きく動き始める。

eternal_sub2.jpg

題名通りに美しい彼が大きなスクリーンで見られるところが本作の見どころ。2人の幸せな日常をひとつひとつ丁寧に確認していくようなカットの連続に見ているこちらも幸せな気持ちになれた。大好物のカニコロを食べたり、自転車を2人乗りしたりそんな日常が観られて良かったと思えた。ドラマシリーズから2人を見守ってきたファンにはぜひ最後はスクリーンで堪能してもらいたい。

(文/杉本結)

***
eternal_sub3.jpg

『劇場版 美しい彼〜eternal〜』
4月7日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開中

監督:酒井麻衣
原作:凪良ゆう『美しい彼』シリーズ(徳間書店 キャラ文庫 刊)
出演:萩原利久、八木勇征、高野洸、落合モトキ、仁村紗和、前田拳太郎、和田聰宏 ほか
配給:カルチュア・パブリッシャーズ

日本映画/2023/103分
公式サイト:https://culture-pub.jp/utsukushiikare_movie/
©2023 劇場版「美しい彼〜eternal〜」製作委員会

« 前の記事「もやもやレビュー」記事一覧次の記事 »

BOOKSTAND

BOOK STANDプレミアム