もやもやレビュー

10代のエネルギーに満ちた青春映画『ガール・ピクチャー』

『ガール・ピクチャー』 4月7日(金)より新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次ロードショー

本作、フィンランドのアカデミー賞である、ユッシ賞で5冠を獲っている作品である。
どんな作品かというと、子どもと大人のはざまの17〜18歳に差し掛かる3人の少女、ミンミとロンコとエマ。3度の金曜日でミンミとエマはお互いの人生を揺るがすような運命の恋に落ちる。ロンコは 未知の性的快感を求め冒険する―。
10代はジェットコー スターのようにアップダウンが激しく、多感な時期。そんなティーンエイジャーが抱える性、人間関係、未来への悩みをリアルかつまっすぐに映し出す、まぶしいほどエネルギーに満ち溢れた青春映画。

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もうずっと昔に10代を通り越してしまった私からみたら大人ならもっとうまくやるのに!と思うくらい10代の未熟さや無知が溢れた作品でそこがまたリアルに感じる。高校生や大学生からみたらリアルで刺さる部分の多い作品だと思うし、それ以上の年代からしたらそんなこともあったなともう懐かしい感情の領域だろう。
まだ知らない世界に足を踏み込んでいくことへの恐怖をフィギュアスケートという競技が登場することでうまく表現出来ていたと思う。一見、自由奔放そうなキャラクターの内面的な部分にもしっかりとスポットライトが当てられていたり一人一人の内面と向き合うことが出来るところが良かった。

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人生はマニュアルや常識通りに動いていたらいいってわけではない。人間には感情があるからこそぶつかり合うし、ぶつかり合うことさえ出来ない時の切なさや歯痒さがある。そんな痛いところが3人の少女の本当に欲求に正直な姿を通して描きだされていた。
新しい出会いの季節。悩んだ時に、自分だけじゃない。みんな悩みを抱えて生きていると思える作品だった。

(文/杉本結)

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『ガール・ピクチャー』
4月7日(金)より新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次ロードショー

監督:アッリ・ハーパサロ
出演:アーム・ミロノフ、エレオノーラ・カウハネン、リンネア・レイノ
配給:アンプラグド

原題:Tytöt tytot tytöt
公式サイト:https://unpfilm.com/girlpicture/
予告編動画:https://youtu.be/ClgfCOaTrZo
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