もやもやレビュー

『月刊予告編妄想かわら版』2023年4月号

『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』(4月28日公開)より

毎月下旬頃に、翌月公開の映画を各週一本ずつ選んで、その予告編を見てラストシーンやオチを妄想していく『月刊予告編妄想かわら版』二十回目です。
果たして妄想は当たるのか当たらないのか、それを確かめてもらうのもいいですし、予告編を見て気になったら作品があれば、映画館で観てもらえたらうれしいです。
04月公開の映画からは、この四作品を選びました。

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『ザ・ホエール』(04月07日公開)
公式サイト:https://whale-movie.jp/
予告編:https://youtu.be/nQ3AfKK8i4A

メイン.jpg ダーレン・アロノフスキー監督×A24制作のアカデミー賞2部門受賞作『ザ・ホエール』。恋人のアランを亡くしたショックから現実逃避するように過食を繰り返してきたチャーリー(ブレンダン・フレイザー)は体重272kgの重度の肥満症となっていた。そんな彼は自らの死期を悟り、8歳の頃から疎遠になっていた娘のエリーとの絆を取り戻そうとする。
「今頃親ぶるの?」と17歳になったエリーに手厳しく言われているシーンがあります。また、アランの妹の看護師であるリズとのやりとりは彼女がチャーリーの数少ない心許せる人物だということも予告編からも伝わっていきます。
 ここからは妄想です。予告編でも「最後の五日間、彼が心の奥底で信じ続けた願いとは?」と謳っており、またチャーリーも「僕は信じたいんだ。人生でたった一度だけ正しいことをしたと!」と涙ながら訴えているシーンもあるので、彼は亡くなってしまうのでしょう。
 海辺で幼少期のエリーらしい少女と遠くにいるチャーリーらしき男性のシーンが予告編で見 られるので、和解できた二人は家を出て海に向かおうとするのかもしれません。海に辿り着いたチャーリーが泳ぐ姿はまさにクジラのように見える。そして、浜辺に戻ってきて娘の姿を見ながら彼は亡くなってしまう、そんなラストではないでしょうか?

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『ザ・ホエール』
4月7日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほかにて公開
配給:キノフィルムズ
© 2022 Palouse Rights LLC. All Rights Reserved.

『聖地には蜘蛛が巣を張る』(04月14日公開)
公式サイト:https://gaga.ne.jp/seichikumo/
予告編:https://youtu.be/u8hHvcgeB9M

聖地には蜘蛛が巣を張る メイン★.jpg 『ボーダー 二つの世界』の鬼才アリ・アッバシ監督が実在の連続殺人鬼「スパイダー・キラー」による16人の娼婦連続殺人事件を基に描いた『聖地には蜘蛛が巣を張る』。
「街中の娼婦を始末してやる。終わるまでやめない」という犯人からのメッセージを聞いた女性ジャーナリストのラヒミ。彼女はイランの聖地マシュハドで事件の真相を暴くために調査を開始します。
「同じ手口で殺害、同じ地域に遺棄してまだ捕まらない。誰かがかばってる」というラヒミのセリフのあとには、警察や聖職者たちの横柄な態度と彼らが殺された女性たちを軽視している様子も予告編で見ることができます。
 ここからは妄想です。警察官がラヒミに「この事件は忘れろ」と言い、「街を浄化するのだ」という男の声に反応して「浄化しろ!」と大勢の男性が声をあげているシーンもあります。また、途中には「犯人はイスラム法を実行してるとも」というセリフもあり、売春をしている娼婦たちは穢れた存在であると彼らは思っているようです。
 犯人は実は複数犯であり、イスラム法を崇拝するマシュハドの人々は犯人が身内にいることを誇りだとすら信じている。そんな驚愕の真実を知ったラヒミは絶望して聖地から逃げ出し、他国においてこのことを発表するというエンディングかもしれません。

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『聖地には蜘蛛が巣を張る』
4月14日(金)より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷、TOHOシネマズ シャンテほかにて公開
配給:ギャガ
©Profile Pictures / One Two Films

『ヴィレッジ』(04月21日公開)
公式サイト:https://village-movie.jp/
予告編:https://youtu.be/nl9hRuBLyR8

main_re_DSH6674.jpg  藤井道人監督最新作『ヴィレッジ』。とある集落の霞門村にある巨大なゴミの最終処分場で働いている片山優(横浜流星)は、父が起こした事件の汚名を背負って生きてきた。
 東京から戻ってきた幼馴染の美咲(黒木華)が「なんでこの村にいるの? いろいろ選択肢はあったんじゃない?」と優に言っているシーンや、「村長も全員知ってるってことですよね」という処分場で働く男性のセリフも予告編にあります。
 ここからは妄想です。村人たちが同じ面を被って行う儀式のシーンもあり、ある秘密を共有していて、そのことを口外しないという掟があるのかもしれません。優の父はその秘密を外部に漏らそうとしたために犯罪者に仕立て上げられたのかもしれません。処理場はたとえば核廃棄物のようなものを外部からは秘密裏に処理しているなど、知られてはいけない秘密があり、そのことで村は利益を得て成り立っている。
 最後には優がこの村を捨てて外界に出ていくシーンが見たいものですが、予告編には大きな穴も出てくるので、そこに宇宙から飛来した未知の生物がいて、核廃棄物がその餌になっているというそんなSF的なシーンも想像してしまいました。最後は村人に穴の中に落とされた優が未知の生物と合体して村人を皆殺しにする、さすがにそれは妄想しすぎかもしれませんね。

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『ヴィレッジ』
4月21日(金)より全国公開
配給:KADOKAWA/スターサンズ
©️2023「ヴィレッジ」製作委員会

『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』(04月28日公開)
公式サイト:https://www.universalpictures.jp/micro/super-mario-bros
予告編:https://youtu.be/46odtzf2RjA

メイン_2530_T2_00041_R.jpg 任天堂とイルミネーションがタッグを組んだ新たなアニメーション映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』。世界中で最も知られているアクションゲームの代名詞である『スーパーマリオブラザーズ』を映像化した今作では、予告編を見るとピーチ姫ではなく、ルイージがクッパ城に捕らえられています。
 クッパはキノコ王国を攻め入って滅ぼそうとしており、ピーチ姫はマリオと共にクッパの侵略を阻止して、ルイージを救出するのに力を貸してくれるようです。また、ドンキーコングも登場しており、マリオと共にゲームの横スクロール画面を駆け抜けていくような見応えのあるシーンも予告編で見ることができます。さらには『マリオカート』の要素も入っており、バイクに乗っているピーチ姫やカートに乗ってクッパ軍と戦うマリオの姿もあります。
 ここからは妄想です、と書こうとしたら残りの文字数がほとんど残っていませんでした。すみません。しかし、ラストは助け出したルイージとマリオたちみんなが力を合わせてクッパを退治するハッピーエンドしか考えられません。
 予告編を見てこの映像なら劇場の大画面で観てみたいと思わせるキャラクターデザインとアニメーションはさすがイルミネーションです。最後の美味しいところはキノピオが持っていきそうな気がします!

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『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』
4月28日(金)より全国ロードショー
配給:東宝東和
©2022 Nintendo and Universal Studios.All Rights Reserved.


文/碇本学

1982年生まれ。物書き&Webサイト編集スタッフ。

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