もやもやレビュー

安楽死と向き合う家族の物語『すべてうまくいきますように』

『すべてうまくいきますように』 2月3日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、Bunkamuraル・シネマ他にて公開

突然ですが、映画を見るときにどうやってみる作品を決定しますか?
あらすじだったり、監督や好きな俳優が出演していたりさまざまな理由があると思います。私の場合は、映画を通じて年に一度は触れたいテーマがいくつかあり、その一つが「安楽死」についてです。

日本では現在認められていない安楽死という制度。ですが、世界では現在、10カ国以上の国・地域で自殺ほう助が認められています。積極的安楽死が合法化されているのはオランダ、ルクセンブルク、ベルギー、カナダ、コロンビア、スペインなどです。もちろん、自殺ほう助を受けるには厳しい条件をクリアしなければなりません。大半の国では、対象が不治の病を患う成人に限られています。未成年者にも認めているのはオランダとベルギーだけです。

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「自分が死ぬ時に子どもに面倒はかけたくないなぁー」なんて台詞は良く聞きますが、医療はどんどん発達して寿命はどんどんのびています。だけど先日こんな話を耳にしてしまいました。男女共に平均74歳〜おトイレのトラブルが急増する傾向にあり平均寿命が男性より長い女性は下の世話で家族にお世話になるケースが多いし長い戦いになると...。

これって人ごとではない。
そうやって、生活の質がだんだん落ちていってしまった時、自分はなにを考えるんだろう。また、自分の親がそうなった時に自分はどんなことが出来るんだろう。考えることは山積みです。

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今の日本では合法化されていない安楽死。だけど20年、30年たった時に時代の変化とともに世の中の仕組みも変化していきます。世界では宗教上の理由で認められなかったり、倫理観から認められなかったりありますがそれでも合法化が少しずつ増えていることも事実です。そんな自分の知らない世界を知ることが出来る映画でした。

そうした今後考えなくてはいけない問題を映画を通して考える機会とすることは、切ない気持ちにはなるけど有意義な時間でもありおすすめです。

(文/杉本結)

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『すべてうまくいきますように』
2月3日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、Bunkamuraル・シネマ他にて公開

監督・脚本:フランソワ・オゾン
出演:ソフィー・マルソー、アンドレ・デュソリエ、ジェラルディーヌ・ペラス、シャーロット・ランプリング、ハンナ・シグラ、エリック・カラヴァカ、グレゴリー・ガドゥボワ
配給:キノフィルムズ

原題:Tout s'est bien passé
2021/フランス・ベルギー/113分
公式サイト:https://ewf-movie.jp
© 2020 MANDARIN PRODUCTION - FOZ - France 2 CINEMA - PLAYTIME PRODUCTION - SCOPE PICTURES

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