不気味なエンディングに何故か拍手を送りたくなる『ザ・メニュー』
- 『ザ・メニュー ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]』
- マーク・マイロッド,レイフ・ファインズ,アニャ・テイラー=ジョイ,ニコラス・ホルト,ホン・チャウ
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昨年11月18日に日米同時公開されたばかりの『ザ・メニュー』が、早くもディズニープラスにて配信となりました。本作は若いカップルがなかなか予約の取れないレストランにて極上のメニューを堪能していく物語。ひとつひとつ丁寧に作られた"メニュー"は、予想外のサプライズがあり、最後の最後まで空いた口が開きっぱなしでした。
アニャ・テイラー=ジョイ演じるマーゴとニコラス・ホルト演じるタイラーは、なかなか予約が取れない孤島にある高級レストランに向かいます。タバコを吸うマーゴに対し、"料理マニア"な雰囲気を醸し出すタイラーは「そんなんじゃ味がわからなくなる」とダメ出し。仲がいいのか悪いのかよくわからないこの2人のほかに、富豪たちが招かれ、そして伝説のシェフであるジュリアン・スローヴィクの極上の料理が振る舞われることに。これまで味わったことのないメニューに感激するタイラー、その一方でマーゴはなんだか違和感を持ち始めます。さらには、メニューが一品一品過激な"意味"を持つようになり......。
もともと脚本家のウィル・トレーシーがノルウェーの新婚旅行でプライベートアイランドにある高級レストランに行ったことがきっかけで生まれたこの物語。本作同様ウィルは、ボードでそのアイランドへいき、食事が終わるまで島か出られないことに気づいたそうです。そのアイディアを、社会風刺やブラックユーモアがたくさん盛り込まれた「メディア王〜華麗なる一族〜」のマーク・マイロッドが監督を務めて出来上がった作品。「次はどんなメニューが出てくるのだろう」というワクワク感が、徐々に恐怖に変わっていくのが本作の面白いポイント。ちなみにジュリアン・スローヴィクがどのような人生を送ってきたのかという背景の物語はあまり描かれておらず、気になってリサーチしたところ、なんとカットされたそうです。しかし、彼の背景がわからないからこそこの物語を堪能できたのかも、と思いました。ホラー映画『ミッドサマー』のような胸にグッとくるいやーな感じもあり、何故か爽快感もあるそんな不思議な一本でした。
(文/トキエス)