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コロナ禍を予見した映画と話題『ピンククラウド』

『ピンククラウド』 1月27日(金)より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開

コロナを予見した映画として話題となっている『ピンククラウド』を紹介しようと思う。
なんと、本作の脚本が書かれたのはコロナ以前の2017年。2019年に撮影された本作は当初SF映画として構想されていたが、世界的なパンデミックで一変した現実と重なることとなった。

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一夜の関係を共にしているジョヴァナとヤーゴをけたたましい警報が襲う。突如として発生した毒性を持った正体不明のピンクの雲。それに触れると10秒間で死に至るとニュースが報じる。二人は窓を閉め切って高層アパートに引きこもり、長くて数週間で終わるであろうロックダウン生活に入るが...。見知らぬ他人であったジョヴァナとヤーゴは現実的な役割を果たすことを迫られ、やがて生まれる子はパンデミック以前の生活を知らず、しかしジョヴァナの中で生じた歪みは次第に大きくなっていくのだった。

突然に現れた目に見えないウイルス。コロナウイルスがニュースになりはじめたのはいつからだったろうか?2020年に入りどんどんと状況は悪化して4月の緊急事態宣言が起こった。
そんな最中で私ごとだが子どもを出産した。出産後も経産婦だったこともあり看護師や医師と会話するのはほぼ部屋についている電話で直接話をしたのは2.3回だった。
1日に会うのは食事を配膳してくれる人とドアノブの消毒に数時間毎にやってくる人だけ。子どもと2人きりで部屋から出ることもなく産後5日間を過ごした。そんな経験を思い出すような作品に出会ってびっくりした。

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コロナ禍になってからのマスクをした生活を映した作品は去年から急激に増えた印象だ。だけど、ロックダウンが予期されたかのような本作は外出出来ないことで起こる不自由とその不自由さえも知らない子どもが描かれている。
いま、私の子どもは幼稚園にマスクをしていくことが当たり前で給食で会話をしてはいけないと教わって育っている。スーパーの入り口では手を消毒する。友人の子どもは家で食事中に会話してもいいか親に聞いたことがあると聞いた。
この状況から以前のような社会に戻るにはどうしたらいいのか。最近、マスクを外すことについて議論されている。次の夏はマスクが外せたらいいなという気持ちだがどうなるのか。

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映画ではピンクの雲が見えている。
本当に触ったら死ぬのか?映画の中で死体のような描写は一切ない。
真実がわからないけれど死ぬことが怖くて家から出られない人々。
映画で描かれていることはフィクションだったはずなのに今となってはリアルでしかない。様々なシーンでこれからの課題と重なる部分もあった。鑑賞後、しばらくふとした瞬間に本作を思い出すようになった。ご興味あるかたはぜひ。一見の価値あり!

(文/杉本結)

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『ピンククラウド』
1月27日(金)より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開

監督・脚本:イウリ・ジェルバーゼ  
出演:ヘナタ・ジ・レリス、エドゥアルド・メンドンサ、カヤ・ホドリゲス、ジルレイ・ブラジウ・パエス、ヘレナ・ベケル
配給・宣伝:サンリスフィルム

原題:A NUVEM ROSA
2020年/ブラジル/103分
公式サイト:https://senlisfilms.jp/pinkcloud/
©︎ 2020 Prana Filmes

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