アップデートの先に見える景色は? 『映画 おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』

『映画 おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』 7月4日(金)より全国ロードショー
本作の原作は練馬ジムによるLINEマンガで、投票企画「LINEマンガでイチ押しのオリジナル作品は? みんなで決めるベスト11」において第1位を獲得した注目作品だ。2024年1月6日より東海テレビ・フジテレビ系の土ドラ枠(毎週土曜23:40〜翌0:35)で放送されるやいなや、「TVer」における初回再生回数が1週間で89万回を達成! 東海テレビ制作史上歴代1位(2024年1月当時)となる大記録を打ち立てた「おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!」(通称:おっパン)。世間の古い常識や偏見で凝り固まった昭和の"おっさん"が、LGBTQ+、推し活、二次元LOVE、メンズブラ......といった新しい"常識"に出会ったことで、少しずつアップデートしていくロールプレイング・ドラマとして、大きな話題を呼んだ。
本作を推せるポイントは3つある。
一つ目に、自分とは違う考え方や感性の人を理解しようとする世界観。だからといって置かれた状況をすぐに受け入れられるのではなく、葛藤もするし、どうやって接するべきなのか悩む姿はとても人間味あふれ好感がもてる。
二つ目に、「自分らしく生きる」を大切に作られている。好きなものを諦めることなく楽しそうに生きていく登場人物がとても輝いている。推し活のために働くお母さん。可愛いものが好きな息子。漫画家をめざす娘。そして家族を大切にするお父さん。この家族、最初は自分の「好き」を家族には言えずに、個人個人がこっそり楽しんでいた。その壁がなくなったことで、言いたいことも言える人間関係に変化している。目の前の人としっかりと向き合うことの大切さや、AI時代だからこそ人間にしかない、本当に大切なものを教えてもらえる作品となっている。
そして三つ目に、「時代に合わせてアップデートする」ということ。本作の中でも重要なキーワードとなっている「アップデート」という言葉。性別や年代、違いを見つければそこにいくらでも壁を作ることはできる。だけど、そんな場面で相手を理解しようとすることで変化する人間関係もある。古い考えに固執しない。けれど、昔からある大切なものを捨てるわけではない。アップデートとは「進化する」バージョンアップのことなのだと、本作から学ぶことができた。
「多様性」という言葉を耳にするようになって数年たつ。人と違うことがかっこいい、自分にしかないものを見つけて自己肯定感をあげる。だけどSNSで周囲の目を気にしている。そういった矛盾の中で私たちは生きている。インターネットの普及により新しくできた価値観と、インターネットのなかった時代の価値観を知っている世代が、まさに「あの頃は...」と価値観の違いに戸惑いながら仕事や育児をしている。そんな時代だからこそ、「おっパン」は刺さるものが多い作品だった。
おっさんだけではなく、幅広い世代に見て欲しい作品となっている。
(文/杉本結)
『映画 おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』
7月4日(金)より全国ロードショー
監督:二宮 崇
原作:「おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!」練馬ジム(「LINEマンガ」連載)
出演:原田泰造 中島颯太(FANTASTICS) ほか
配給:ギャガ
2025/日本映画/114分
公式サイト:http://gaga.ne.jp/oppan-movie
予告編:https://youtu.be/15vv317-0ow
©練馬ジム | LINEマンガ・2025 映画「おっパン」製作委員会