もやもやレビュー

食欲の秋がやってきた『デリシュ!』

『デリシュ!』 9月2日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国公開

現代では当たり前のようにあるレストラン。
本作をみて、昔はレストランがなかったということにびっくりした。
今ある当たり前のものが昔からずっとあったわけではない。何もないところから何かが生まれる瞬間にはドラマがあると、実感できる作品だった。

1789年、革命直前のフランス。誇り高い宮廷料理人のマンスロンは、自慢の創作料理「デリシュ」にジャガイモを使ったことが貴族たちの反感を買い、主人である傲慢な公爵に解任される。
息子と共に実家に戻ったマンスロンは、彼の側で料理を学びたいと訪ねてきた女性ルイーズの助けを借りながら、世界で初めて一般人のために開かれたレストランを営むことになる。
店はたちまち評判となり、公爵にその存在を知られてしまう...。

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ジャガイモとトリュフは豚のエサとも言われていた時代があったなんて、そんなことも知らなかった。
身体の大きな男性が繊細な料理を作り上げていく姿は頼もしくもあり、これで笑顔がみられたらキュンポイントにもなると思いながら鑑賞していた。女性が厨房に立つことはなく、男性しか料理人がいなかった時代があったとは...。
本作をみると現代の料理のイメージとはだいぶ違った環境だったのがよくわかる。
また、男も女も関係なく料理ができる時代はくるんだという、希望に満ち溢れたシーンがとても印象的だった。

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出てくる料理はどれも凝っていて美味しそう。食欲の秋にこそみたい一押し作品だ。
鑑賞後はなにか美味しいものを食べる予定をいれておくことをおすすめしたい。

(文/杉本結)

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『デリシュ!』
9月2日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国公開

監督:エリック・ベナール
出演:グレゴリー・ガドゥボワ、イザベル・カレ、バンジャマン・ラベルネ、ギヨーム・ドゥ・トンケデック ほか
配給: 彩プロ

原題:DÉLICIEUX
2020/フランス・ベルギー/112分
公式サイト:https://delicieux.ayapro.ne.jp
©︎2020 NORD-OUEST FILMS―SND GROUE M6ーFRANCE 3 CINÉMA―AUVERGNE-RHôNE-ALPES CINÉMA―ALTÉMIS PRODUCTIONS

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