もやもやレビュー

『月刊予告編妄想かわら版』2022年2月号

『ゴーストバスターズ/アフターライフ』(2月4日公開)より

毎月下旬頃に、翌月公開の映画を各週一本ずつ選んで、その予告編を見てラストシーンやオチを妄想していく『月刊妄想かわら版』六回目です。
果たして妄想は当たるのか当たらないのか、それを確かめてもらうのもいいですし、予告編を見て気になったら作品があれば、こんなご時世ですが映画館で観てもらえたらうれしいです。
2月公開の映画からは、この四作品を選びました。

***

『ゴーストバスターズ/アフターライフ』(2月4日公開)
公式サイト:https://www.ghostbusters.jp/
予告編:https://www.youtube.com/watch?v=dxoKWmTB2B0

★『ゴーストバスターズ』メイン.jpg
 前二作の監督を務めたアイヴァン・ライトマンからその意思を引き継いだ息子のジェイソン・ライトマンが監督した『ゴーストバスターズ/アフターライフ』。また、今回の主人公である少女のフィービーは初代「ゴーストバスターズ」だった科学者のイゴン・スペングラーの孫娘という設定になっているようです。
 一家で田舎に越してきたフィービー家族。そこには祖父のイゴンが残した不気味な屋敷があり、かつて「ゴーストバスターズ」たちが使っていた道具が残されていた。そして、その町では30年間ずっと原因不明の地震が頻発していた。なんと初代「ゴーストバスターズ」たちはNYで捕まえたゴーストたちをこの町に封印していたのだ。そして、その封印がとかれてしまったことで再びゴーストたちが出現し、フィービーたちが「ゴーストバスターズ」となって退治していく物語のようです。
 ここからは妄想です。予告編でかつての「ゴーストバスターズ」の宣伝動画がYouTubeにアップされており、そこの番号にかけると誰かが電話越しで「閉店だ」という場面があるのですが、その声はやはりビル・マーレイでしょう。きっと彼が生きているというサプライズ出演なはずです。また、ゴーストたちと一緒にフィービーの祖父イゴンもあの世から戻ってきて、孫たちと一緒に戦うなんてシーンもあるのかもしれません。

『ゴーストバスターズ』サブ①.jpg2月4日(金)より全国公開
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

『ちょっと思い出しただけ』(2月11日公開)
公式サイト:https://choiomo.com/
予告編:https://www.youtube.com/watch?v=QvnzH4jwoaY

 松井大吾監督×池松壮亮&伊藤沙莉主演映画『ちょっと思い出しただけ』。タクシー運転手の彼女(伊藤沙莉)と助手席に乗っている彼(池松壮亮)はかつて恋人だった。そして、二人のその六年間の「ある1日」を遡るというラブストーリーのようです。
 彼は役者志望なのか、レッスンに通っているシーンがあったり、二人が水族館にいて彼女が「この星に人間はわたしたち二人だけって感じがしない?」と告げたり、部屋で彼が「来年の誕生日にプロポーズしよう」と言っているシーンを予告編で見ることができます。もう戻らないそんな懐かしい日々のシーンとマスクをしている現在進行形のシーンが対比的で印象に残りました。
 ここからは妄想です。と言ってもふたりは別れたけれど、日々のちょっとしたことや何かを見たり、誰かと話をしている時に相手のことをふいに思い出してしまう、という誰にでも身に覚えのあるラブストーリーになっているはずです。
 一緒にいれなくなったからこそ、どうしていいのかわからない相手への気持ち。そんな治りかけのかさぶたのような思い出をふいにはがしてしまう。そうすると血が出てきてわずかな痛みを感じる。でも、僕らが生きて出会った大切な人との思い出はずっとそんな風なものなのかもしれません。あっ、妄想じゃなくて実感でした。

2月11日(金)公開
配給:東京テアトル

『リング・ワンダリング』』(2月19日公開)
公式サイト:https://ringwandering.com/
予告編:https://www.youtube.com/watch?v=3pSVcDAbBrM

RW_main1.jpg
 海外の映画祭で注目された俊英・金子雅和監督による映画『リング・ワンダリンリング』。漫画家志望の青年・草介(笠松将)は絶命したニホンオオカミを題材にした漫画を描いていたが、資料も少なくオオカミをうまく表現できずにいた。そんなある日、いなくなった犬を探しているというミドリ(阿部純子)と出会う。彼女の家に招かれた草介だったが、その一家はなにか少し様子が変わっていた。
「おれがそのどてっ腹に風穴を空けてやる」と猟師が言う場面のあとには、そのシーンがそのまま草介の漫画になっていたりします。草介がいる世界と彼が描いた世界などが織り交ざっていく作品になっているようです。
 ここからは妄想です。予告編でもミドリの家や家族の様子から彼女たちは過去の時代の人であり、草介はミドリに導かれてその時代に行ってしまったのでしょう。それはもしかするとニホンオオカミが生きていた時代かもしれません。彼の願いをミドリが叶えようとしている可能性も考えられます。そんな風に現在と過去が交差し、そして人間と自然を幻想的に描くためには、いろんな時間軸が必要だったのかもしれません。
「私の姿忘れないで」とミドリが言っているシーンもあり、もしかしたら、ミドリ一家はニホンオオカミの末裔だった、というラストかもしれません。

RW_sub1.jpg2月19日(土)より渋谷シアター・イメージフォーラム他全国順次ロードショー
配給:ムービー・アクト・プロジェクト
Ⓒ2021 リング・ワンダリング製作委員会

『愛なのに』(2月25日公開)
公式サイト:https://www.lr15-movie.com/ainanoni/index.html
予告編:https://www.youtube.com/watch?v=NWarExbLwNg&t=2s

 ピンク映画でヒットを飛ばしている城定秀夫監督と恋愛映画の名手と呼ばれる今泉力哉監督が脚本を手がかけて、タッグを組んだ恋愛映画『愛のなのに』。女子高校生の岬(河合優実)が古本屋で万引きをして走り出す。それを追いかける店主の多田(瀬戸康史)だが、捕まえると岬からいきなり求婚をされてしまう。多田には片思いしている一花がいたが、彼女はすでに結婚が決まっていた。しかし、彼女の婚約者の亮介は浮気をしており、それぞれの思いと気持ちのすれ違っている様子を予告編で見ることができます。
「岬さん高校生ですよ。殴っていいですか」と多田に詰め寄る岬の同級生らしき男子高校生も現れます。果たして彼らの想いはどうなっていくのでしょう。
 ここからは妄想です。それぞれが自分の気持ちを相手に伝えようとしているのを予告編で見ることができます。真剣に人を思うからこそ、それは他者が見るとどこか滑稽に見えたり、笑いを誘うこともあるでしょう。それぞれの恋する想いのベクトルは終盤に一気にひっくり返るそんなラストもありえるのかもしれません。
 浮気をしていた婚約者は元通りになろうとして一花を、一花は多田を、多田はダメだと思いながら岬を、岬は多田に詰め寄っていた同級生に、という感じに。そして、またその想いが加速していくのを予感させて終わるのではないでしょうか?

2月25日(金) 公開
配給:SPOTTED PRODUCTIONS

(文/碇本学)

- Profile -
1982年生まれ。物書き&Webサイト編集スタッフ。「水道橋博士のメルマ旬報」で「碇のむきだし」、「PLANETS」で「ユートピアの終焉──あだち充と戦後日本の青春」連載中です。園子温監督が手がけられた映画『リアル鬼ごっこ』のノベライズ『リアル鬼ごっこJK』、Amazonプライムドラマ『東京ヴァンパイアホテル』エピソード8&9脚本を執筆しています。

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