もやもやレビュー

『月刊予告編妄想かわら版』2022年1月号

『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』(1月28日公開)より

毎月下旬頃に、翌月公開の映画を各週一本ずつ選んで、その予告編を見てラストシーンやオチを妄想していく『月刊妄想かわら版』五回目です。
果たして妄想は当たるのか当たらないのか、それを確かめてもらうのもいいですし、予告編を見て気になったら作品があれば、こんなご時世ですが映画館で観てもらえたらうれしいです。
2022年1月公開の映画からは、この四作品を選びました。

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『弟とアンドロイドと僕』(1月07日公開)
公式サイト:https://movie.kinocinema.jp/works/otoutoandroidboku
予告編:https://www.youtube.com/watch?v=BFY1yACmyHQ

【弟とアンドロイドと僕】メイン画像.jpg

 阪本順治監督×豊川悦司主演映画『弟とアンドロイドと僕』。大学でロボット工学を教える天才教授の桐生薫(豊川)は私生活ではアンドロイド開発に没頭する生活を送っていた。
 義理の弟(安藤政信)が急に薫の前に現れ、寝たきりの父親が彼の名前を突如呼んだと言います。それを聞いた彼は病室に出向き、ずいぶん会っていなかった父の延命処置を希望する。父と薫の関係性になにかあるような雰囲気を感じさせます。巨大な屋敷にひとり住んで研究に没頭する彼の前に謎の少女が現れ、「私はいますか?」と問われているシーンも予告編で見ることができます。
 ここからは妄想です。予告編の中で「僕は、ずっと、フィクションだった。」という字幕もあり、実は主人公の薫こそが父親が作ったアンドロイドなのかもしれません。
 例えば、本当の薫はすでに亡くなっていて、父親が薫そっくりのアンドロイドを作っていた。そして、作られたアンドロイドの薫はプログラミングされていたせいで無意識でロボット工学を学び、研究していた。そんな『鉄腕アトム』の天馬博士とアトム的な関係に彼ら親子はなっているかもしれません。そのことを知って絶望した薫は自分の体を破壊してしまう。義理の弟がその機械の残骸を抱きしめているそんなラストシーンではないでしょうか?

【弟とアンドロイドと僕】サブ画像01.jpg2022年1月7日(金)よりキノシネマ他、全国順次公開
配給:キノシネマ
©2020「弟とアンドロイドと僕」FILM PARTNERS

『ハウス・オブ・グッチ』(1月14日公開)
公式サイト:https://house-of-gucci.jp/
予告編:https://www.youtube.com/watch?v=QHhHpK3TJHg&t=9s

 リドリー・スコットが「グッチ」家の崩壊を描いた『ハウス・オブ・グッチ』。物語の主人公は「グッチ」家の三代目社長であるマウリツィオ・グッチ(アダム・ドライバー)の妻となるパトリツィア・レッジャーニ(レディー・ガガ)。彼女がマウリツィオに連れられて、華麗なる「グッチ」家の家族に紹介されるシーンがあります。
「グッチはつまらなくなった。事実よ」とパトリツィアが夫に言い、古臭くなってしまったブランドをなんとか立て直そうし、夫の父である二代目(アル・パチーノ)に直訴するものの、「女の出る幕はない」と言われてしまうシーンも予告編で見ることができます。
 ここからは妄想です。と言いたいのですが、この映画は実話に基づいていて、予告編でもパトリツィアが人を雇って、人を殺すように依頼しているシーンがあります。現実では彼女の夫が殺害されました。彼女は夫の殺害を依頼したのか、あるいは実行犯は誰かと間違えてしまったのか。一体なにが起きてしまったのでしょうか? 
 しかし、予告編だけでこれほど観たいと思わせるキャスティングと内容はなかなかないのではないでしょうか。音楽の世界でトップとなったレディー・ガガはこの作品で映画の世界でもトップになれるのか、そんな作品以外のことも気になる作品です。

2022年1月14日(金)公開
配給:東宝東和

『さがす』(1月21日公開)
公式サイト:https://sagasu-movie.asmik-ace.co.jp/
予告編:https://www.youtube.com/watch?v=oWZlojvU0VM&t=1s

 『岬の兄妹』で注目され、新作が待たれていた片山慎三監督の長編映画二作目『さがす』。大阪で平穏に暮らしていた父(佐藤二朗)と娘の楓(伊藤蒼)。「お父ちゃんな、あいつ見たんや」「誰?」「指名手配犯、山内照巳」「警察突き出したら300万円やでえ」という父と娘の会話があったのち、父が姿を消してしまう。
 楓は失踪した父をひとりで探し始めます。そして、工事現場で働いていることがわかり、出向くと父の名前で山内(清水尋也)が働いていた。逃げる山内を追いかける楓の様子も予告編で見ることができます。
 ここからは妄想です。予告編でも父は「目つむったら悪いことばっかり浮かぶんや」と娘に言っています。山内を見つけた時に自分と同じ匂いを感じたからこそ、何かの交換条件を言って山内に自分の身分証などを渡して消えたのかもしれません。
 もしかしたら、父が山内のように誰かを殺して、その人物に成り代わって生活をしていた可能性もあります。そして、そのことを知っている関係者を殺しに行った。それが楓の本当の両親というだったという展開もありえそうです。最後はそれまでの罪を清算して死んだ父と楓が対面するも、その父であるはずの死体も彼女の知らない男だったという謎が残るラストシーンではないでしょうか?

1月21日(金)よりテアトル新宿ほかにて公開
配給:アスミック・エース

『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』(1月28日公開)
公式サイト:https://searchlightpictures.jp/movie/french_dispatch.html
予告編:https://www.youtube.com/watch?v=oDYkOILcDws

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 ウェス・アンダーソン監督最新作『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』。20世紀フランスの架空の街にある「フレンチ・ディスパッチ」誌の編集部、その編集長(ビル・マーレイ)が集めた優秀なライターたちが書いた記事、その中でも優れた<確固たる名作><宣言書の改訂><警察署長の食事質>を章仕立てで展開していく物語のようです。
 映画に出演するのは、ベニチオ・デル・トロ、フランシス・マクドーマンド、ティルダ・スウィントン、ティモシー・シャラメ、レア・セドゥなどをはじめとする個性的で素晴らしい役者たち、ウェス・アンダーソンでしか集められないような豪華すぎるメンツになっています。
 ここからは妄想です。ウェス・アンダーソン監督というとポップでオシャレなイメージがありますが、今作で描いているのは政治や文化についてであり、ジャーナリズムの力を信じているからこそ、今回の設定にしたのではないでしょうか?
 オシャレで入りやすい映像でありながらも、芸術や革命や旅や食事という文化が人間を世界に豊かにしているという監督の意志や願いのようなものが予告編からも感じられます。個人的にはウェス・アンダーソンとビル・マーレイが組んでいるだけで観たい一作です。あ、本音が。

FD_サブ1_re.jpg2022年1月28日(金) 全国公開
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
©2021 20th Century Studios. All rights reserved.

(文/碇本学)

- Profile -
1982年生まれ。物書き&Webサイト編集スタッフ。「水道橋博士のメルマ旬報」で「碇のむきだし」、「PLANETS」で「ユートピアの終焉──あだち充と戦後日本の青春」連載中です。園子温監督が手がけられた映画『リアル鬼ごっこ』のノベライズ『リアル鬼ごっこJK』、Amazonプライムドラマ『東京ヴァンパイアホテル』エピソード8&9脚本を執筆しています。

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