本作の魅力は不要なバカシーンにある『エイリアン・アサシン』
- 『エイリアン・アサシン(字幕版)』
- ドリュー・ボルドゥック,シャノン・ハッチンソン,ヤスミナ・ペアレント,ヤエル・ハスカル,ジョナサン・ニューポート
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エイリアンはほぼ出てこない。アサシンって誰?という感想しか出てこない、ある意味B級映画の王道とも言えるような作品だった。クリーチャーをいっぱい作っていたら予算オーバーしちゃうからね......。そういう事情は何となく察せられるものの、やはりいち視聴者としては工夫や演出で乗り切って欲しいと思わないでもない。どう考えても無駄なシーンがあるのだから、そういう要らない部分を削って予算を捻出するとか方法はあるだろうと思わぬでもない。
本作の舞台は地球を侵略する宇宙戦争が終結した未来。地球大統領を暗殺した副大統領は地球に住む宇宙人たちを核兵器で殲滅する。同時期に地球大統領の体に寄生していた何かが取り出されていた――。
それから10年後、現地球大統領は植民地にする惑星の軌道上にある宇宙ステーションにいて、そこに人類史上初となる子供宇宙飛行士のチャーリー、トム、ブルックと宇宙ヒーローにあこがれるサラの4人が招かれていた。
飛行士というからには宇宙船を飛ばすシーンがあるのかと思いきや物質転送装置で即残に転送。宇宙飛行士とは?と思わないでもない。
子供たちが着くなり、エイリアンを支持するテロリストにより、宇宙ステーションが爆破され救命ポッドで惑星へ脱出する。そこで救難信号をキャッチした主人公たちは発信源へと向かうと頭に鉄片が刺さった中年が。子供たちに頭部を指摘されると自分で鉄片を頭に押し込み無事死亡。このシーン、果たして必要だったのだろうか。
子供たちを引率している中佐と合流するも食料を探す途中で中佐が謎の寄生虫に感染。突如子供たちを襲い出し、ポッドまで逃げ武器になりそうなガス溶接機を見つけ中佐へ噴射するとガス漏れからの爆発でブルックが死亡。トムも途中で殺害され、逃げるサラとチャーリー。
運よく大統領の補佐と合流したら即座にチャーリーが補佐を射殺。実はチャーリーは宇宙人で10年前の核攻撃で家族を失っていたと説明していると、中佐がチャーリーを殺害。展開が早すぎる。
チャーリーの落とした銃を拾って洞窟に逃げ込んだサラだったが、奥へ進んで行くと生物の内臓のように動く壁。なお、壁に意味はなくサラが中佐を射殺した後にすんなり切り裂ける仕様になっている。
切り裂いた先には瀕死の大統領がいて、自身の体内には真のリーダーがいて、古来から人類を導いてきたと説明を始める。自分は間もなく死ぬのでリーダーを救って欲しいと懇願する。サラは言われた通り大統領の体からポッドを取り出すと、冒頭に出てきた何か。そしてエンドロールへ。
終わってみれば分かりやすいエイリアンは大統領の中にいた何かだけだし、アサシンと思われるチャーリーは目的を果たせず即死するしで羊頭狗肉にもほどがある。
しかし、冒頭で要らないシーンが多すぎると書いたものの、本作に魅力があるとしたら不要なバカな場面くらいしかないのでここをカットしたら見るべきもののない本当のクソ映画になってしまうのだろう。
(文/畑中雄也)