もやもやレビュー

ぶっ飛んでいて、和める『サイボーグでも大丈夫』

サイボーグでも大丈夫 デラックス版 [DVD]
『サイボーグでも大丈夫 デラックス版 [DVD]』
イム・スジョン,チョン・ジフン(Rain ピ),パク・チャヌク
ジェネオン エンタテインメント
商品を購入する
>> Amazon.co.jp
>> HMV&BOOKS

私の近くには、どんなときも陽気なハワイ生まれの子がいる。写真に写るときはお決まりのアロハサイン。誰とでも家族のように仲良くなれる。彼の開放的なムードを1日でも自分のものにできたら東京中の人と仲良くなれそうだ(少し言い過ぎ)。

パク・チャヌク監督の『サイボーグでも大丈夫』(2006年)に登場するイルスン(チョン・ジフン)なら、彼の陽気さをものにできただろう。なぜなら精神病院で暮らす彼は、誰とでも手を合わせるだけで彼らの揺るぎない特徴を"盗む"ことができる。ある日、同じ精神病院に入院してきた主人公ヨングン(イム・スジョン)が、彼にある特徴を盗んでくれと頼むとストーリーは動き出す。

ヨングンは、「ホワイトメン(医者のこと)を倒して、おばあちゃんを助けないと」というミッションを掲げている少女(さらには自分がサイボーグであると思い込んでいて、電池をぺろぺろ舐めて自分を充電している)。しかし、ある特徴のせいでホワイトメンが倒せない。

そこでイルスンの出番だ。彼の力を借りることで、ヨングンはホワイトメンをやっつけられるのか。おばあちゃんを救えるのか!ハチャメチャな展開が繰り広げられるけれど、意外とほっこりできてしまう一本である。

ちなみに『オールド・ボーイ』含む復讐三部作を手掛けたチャヌク監督ならではの過激さも健在。ただしここではかなりおさえめ。どうやらチャヌク監督、娘に観せられる映画を作りたかったのだとか。恐れることなく再生ボタンを押そう。

(文/鈴木未来)

« 前の記事「もやもやレビュー」記事一覧次の記事 »

BOOKSTAND

BOOK STANDプレミアム