もやもやレビュー

お気に入りのサーブに乗って。『ドライブ・マイ・カー』

『ドライブ・マイ・カー』 全国大ヒット上映中!

 家福(西島秀俊)は舞台俳優。脚本家をしている妻の音と、いわゆるていねいな暮らしを満喫している。ある日、家福が海外出張になり、音に見送られて、お気に入りのサーブに乗って成田空港に向かうが、着いた矢先に、飛行機が悪天候で明日まで飛ばないというニュースが入ってくる。家福は近くのホテルを用意されたが、家に帰ることにした。家のドアを開けると、音が知らない男とセックスしていた。家福は見なかったことにして、そっとドアを閉じた。

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 それからしばらくして、音は、クモ膜下出血で倒れて亡くなり、家福はひとりになった。そして、サーブに乗って、広島にあるアートプロジェクトのレジデンスに参加する。そこで出会った若い女の運転手(三浦透子)と打ち解けていく。そうしている間も、家福の心は、音が浮気をしていたことでいっぱいだったが、無理矢理なかったことにしてやりすごしていた。

 ある日、家福は、運転手に、君の実家が見たいと北海道に連れて行ってくれとお願いする。
 運転手はサーブを北海道へ走らす。雪の積もった、土砂で埋まった実家の前で、家福は、妻に浮気されたとき、正しく傷つくべきだったんだと言う。それを聞いた運転手は、家福をギュッと抱きしめる。家福も便乗して運転手を抱きしめるーー。

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 ところどころ、端折ったが、これで3時間である。途中で、村上春樹節の長台詞もあり、見どころはないわけではないが、映像で語ってほしかった。よほどのサーブ好きでないと、3時間は、キツイかもしれない。なにより、浮気をされて、うじうじ3時間悩んで、最後、正しく傷つくべきだったという家福こと西島秀俊。いつまでも引きずってないで新しい恋を探してほしかった。最後、北方謙三が出てきたら満点さしあげた。もちろんセリフはこうだ。「うじうじ悩むな、小僧。ソープへ行け!」

(文/神田桂一)

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『ドライブ・マイ・カー』
全国大ヒット上映中!

監督:濱口竜介
原作:村上春樹「ドライブ・マイ・カー」(短編小説集「女のいない男たち」所収/文春文庫刊)
出演:西島秀俊 三浦透子 霧島れいか/岡田将生

配給:ビターズ・エンド
2021/日本映画/179分
公式サイト:https://dmc.bitters.co.jp
(c)2021 『ドライブ・マイ・カー』製作委員会

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