TSUTAYA発掘企画にハズレなし!『先生、私の隣に座っていただけませんか?』
『先生、私の隣に座っていただけませんか?』 9月10日(金)公開
本作は、オリジナル映画企画とクリエイターの発掘を目的に、「本当に観たい映像作品企画」を募集し、受賞作を映画化するTSUTAYAとカルチュア・エンタテインメントが主催する「TSUTAYA CREATORS' PROGRAM」(TCP)2018で準グランプリ・TSUTAYAプレミアム賞を受賞した作品。
本プログラムで過去に受賞した『嘘を愛する女』と『ルームロンダリング』が2018年に劇場公開され、映画好きの間では注目度が高まっているプロジェクトの1つである。
そして、本作の予告編をみてみると予告編だけでもすごく面白そうだ!
少女漫画家・佐和子の新作漫画のタイトルは「先生、私の隣に座っていただけませんか?」。そこには自分たち夫婦がそっくりそのまま描かれていた。佐和子の担当編集者と不倫をしていた俊夫は、佐和子にバレたかもしれない!と精神的に追い詰められていく。さらに漫画は、佐和子と自動車教習所の先生との淡い恋へと急展開。この漫画は、完全な創作?ただの妄想?それとも夫の不貞に対する、佐和子流の復讐なのか!? 恐怖と嫉妬に震える俊夫は、やがて現実と漫画の境界が曖昧になっていく...。
黒木華演じる佐和子と教習所の先生とのただ車を運転することへのレクチャーをしているだけのはずのシーン。男女が2人きりの密室で話しているというだけでどこかエロチックで、なにか起きるんではないかと少女マンガのような展開を期待してしまうようにうまく作られている。
そして、その出来事を漫画として描いて夫の目にとまるように机に置いておく佐和子のあざとさが絶妙で、作品の魅力に引き込まれていく。不倫がテーマの作品はどうしても同性目線にたって見てしまいがちである。だが本作は不思議と夫・俊夫にも妻・佐和子にも、どちらかに肩入れすることなく、両サイドからの視点をどこかミステリー作品をみているかのように楽しめる。そのため、男女問わず楽しめる。不倫をテーマにした映画を楽しむという表現もおかしな気がするが、本作の中では現実に起きそうなリアルな視点がちりばめられていることによって、フィクションとノンフィクションの境目があやふやになる体験が楽しめるのである。
大事な話がパートナーと出来ない、いわゆる「仮面夫婦」。世の中意外と多いのではないだろうか。夫婦として話し合うべき時にしっかりと話し合いが出来ない。それはどのような結末を迎えるのか...。
ラストまで結末がみえず目が離せない展開となっていた。
(文/杉本結)
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『先生、私の隣に座っていただけませんか?』
9月10日(金)公開
脚本・監督:堀江貴大
出演:黒木華、柄本佑、金子大地、奈緒、風吹ジュン ほか
配給:ハピネットファントム・スタジオ
2021/日本映画/119分
公式サイト:https://www.phantom-film.com/watatona/
(c)2021「先生、私の隣に座っていただけませんか?」製作委員会