もやもやレビュー

短編映画のその後の物語『おもかげ』

『おもかげ』 10/23(金)シネスイッチ銀座、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国ロードショー

本作は15分の短編映画「Madre」のその後を描いた長編映画である。
短編映画で描かれたのは本作の冒頭部分。離婚した夫と旅行中のはずの息子から、母親エレナの元へ「父親がどこへ行ったかわからずどこかわからない海岸にひとりぼっちでいる」という連絡から始まる。緊迫したシーンの母親の焦りや不安な様子が、まくしたてる早口な口調からヒシヒシと伝わってくる。短編は第91回アカデミー賞短編実写映画賞にノミネートされている。

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短編から10年後の母親エレナを本作は描いている。エレナは浜辺の近くのレストランで働き、息子の面影を宿した少年ジャンと出会う。ジャンはエレナを慕うようになっていくが、2人の出会いは周囲に混乱と戸惑いをもたらしていく。

本作をみていてどんどん引き込まれていくこの感覚。なにか感じたことあるなと思ったら「高校教師」を観たときの感覚に似ていることに気がついた。不安定な歳の離れたプラトニックな関係は、少しずつ近づく心の距離に本人達もこの感情はなんなのか戸惑い、禁断の扉へと徐々に近づいていくようだった。そして着地点が全く読めないラスト。平和な道を選び、世間からみた普通の形にはまって幸せに生きる選択肢を選ぶのか?それとも茨の道を選ぶのか?

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ラストの展開については賛否両論あるだろうが、私はとても良いラストだったと思います。
ぜひ誰にも予測できない人生の選択を見届けて欲しい。

(文/杉本結)

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『おもかげ』
10/23(金)シネスイッチ銀座、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国ロードショー

監督・脚本:ロドリゴ・ソロゴイェン
出演:マルタ・ニエト、ジュール・ポリエ、アレックス・ブレンデミュール、アンヌ・コンシニ、フレデリック・ピエロ
配給:ハピネット

原題:MADRE
2019/スペイン、フランス/129分
公式サイト:http://omokage-movie.jp/
©Manolo Pavón

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