もやもやレビュー

父娘ドタバタバディーコメディ『オン・ザ・ロック』

『オン・ザ・ロック』 10月2日(金)より全国公開中、10月23日(金)よりApple TV+にて世界配信

この映画、世界のAppleと映画ファンならA24と聴いただけでも最近は足を運ぶ人もいるほど勢いのあるスタジオのコラボ作品だ。そして、監督はソフィアコッポラときたら期待値も自然と上がってしまう。お洒落な映画が出来上がるのかな?と思いきや良い意味で期待を裏切るコメディー映画が完成していた。

子育てに忙しく、仕事の執筆も上手くいかずもやもやした日々を送る主人公ローラ(ラシダ・ジョーズ)。夫のディーン(マーロン・ウェイアンズ)は仕事に忙しい毎日。ある日夫の職場に新しく入ってきた女性と旦那が浮気をしているのではないかという疑念をいだくローラ。ローラが相談相手に選んだのがなんと父親フェリックス(ビル・マーレイ)だった。父娘のニューヨークの街を舞台にした浮気調査の幕があける。

この作品、ローラをみているとどこの夫婦にもありそうなエピソードが満載。育児に忙しい時期の夫婦の倦怠期×浮気問題というのは実はコメディとの相性抜群!
ちょっとイチャイチャしようと思ったら子供が......なんていう、日常から切り取られてきたかのような生々しい夫婦のやりとりが自然に組み込まれている。
台詞にも女性監督ソフィアコッポラらしさが各所に垣間見られ、「女性は35~39歳が最も輝いている」という台詞が予告編の段階からみられる。映画を多く観ていると旧作の多くは女は20代なんて台詞や扱いが多く見受けられてきた。現代では昔に比べて婚期も遅くなり、働く女性も増えてきた。時代とともに変化している価値観を女性監督ならではの目線で描いているからこそ「女性は35~39歳が最も輝いている」という台詞が生まれたのだろう。こういった時代と共に進化し続ける監督の作品だからこそ毎回期待も高まる。

そして、この作品で最も愛すべき父親役を演じたビル・マーレイ。どこに行ってもすれ違う女性に声をかけ甘い台詞をささやいてしまうプレイボーイな父親。娘としてはそんな父親と一緒にいるのは微妙な心境であったりもするのだが、過去にあった2人の確執も話が進むにつれて絡まっていた糸が綺麗にほどけたようにすっきりとしてくる。
テンポの良い家族愛に包まれたコメディー映画は見終わった後の気分もよいのでオススメだ。

(文/杉本結)

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『オン・ザ・ロック』
10月2日(金)より全国公開中
10月23日(金)よりApple TV+にて世界配信

監督・脚本:ソフィア・コッポラ
出演:ビル・マーレイ、ラシダ・ジョーンズ、マーロン・ウェイアンズ
配給:東北新社 STAR CHANNEL MOVIES

原題:On the Rocks
2020/アメリカ/97分
公式サイト:http://ontherocks-movie.com/
© 2020 SCIC Intl Photo Courtesy of Apple

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