強烈な恋と過激な人生『人間失格太宰治と3人の女たち』

『人間失格太宰治と３人の女たち』 9月13日（金）ロードショー

　ベストセラーを連発してスターになった一方で、破天荒な生き方でも注目された天才作家、太宰治。彼の最期を、スキャンダラスな恋愛とともに描いたのは世界的写真家であり映画監督の蜷川実花。構想に7年を費やしたという『人間失格太宰治と3人の女たち』は、過激で華麗で、とっても大胆に仕上がっています。

　天才作家、太宰治（小栗旬）は妻・美知子（宮沢りえ）と二人の子どもがいながら、密かに自分の支持者である静子（沢尻エリカ）と恋文を交換していました。上流階級の娘にも関わらず世間体を気にしない静子に強く惹かれた太宰は、静子の家を訪れ激しく愛し合います。そして静子の日記からヒントを得て、ベストセラー小説「斜陽」が完成。子どもがほしいと太宰に懇願した静子はやがて妊娠します。その間、太宰は酒の席でクールな富栄（二階堂ふみ）と出会い、口づけを交わします。未帰還の夫を待つ富栄でしたが、いつしか太宰を強く愛し始めるのでした。その一方で、太宰の新作「ヴィヨンの妻」のモデルは美知子に違いないという噂が流れ......。

　ずば抜けた才能を持つ一方で、女たちにとことん甘える太宰。どんどん女たちに振り回され、目まぐるしい日々を送るなか小説を書き上げていく太宰の最期の生き様は、まさに破天荒という言葉がピッタリ。彼の過激な生活を彩るのが、強烈な恋。なぜこんなに依存するのか、嫉妬するのか、そして自分を傷つけてまで愛せるのか......。まるで、太宰を愛する３人の女たちからは「これが真実の愛のカタチだ」と見せつけられている気がしました。それをビビッドな色合いで描く蜷川監督。ストーリーもビジュアルも強烈、そして登場する部屋のインテリアも可愛い。映画の隅から隅まで全てに魅了されたのはいつぶりだろう。太宰治を知らない人でも十分に楽しめる作品です。

（文／トキエス）

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