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自分の道は自分で切り開く!『泣き虫しょったんの奇跡』

『泣き虫しょったんの奇跡』 絶賛公開中!

世の中の「将棋」といったらどんな印象があるのだろうか?おじさんが縁側でのんびりとうっているイメージ。日曜日にテレビで対局を放送しているイメージ。
最近は藤井聡太棋士という新たな風が吹き、将棋界がまた注目されるようになってきている。そして、ひふみんこと加藤一二三さんはお茶の間を和ませてくれるようなキャラクターをいかして現在はタレントとして大忙しだが、棋士としての伝説は数多く将棋業界のレジェンドである。そんな加藤一二三さんの名前が本作の中にも一瞬登場している。

本作の主人公しょったんこと瀬川晶司(松田龍平)は小学生の頃から将棋が大好きでプロ棋士を夢見て奨励会へ入会する。しかし、プロへの道は遠く険しいものであった。
年齢制限の壁にぶつかり一度は夢をあきらめるが、周囲の支えもありプロになるべく二度目の挑戦をすることになる。

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『泣き虫しょったんの奇跡』より

当時は奨励会からプロになる以外にプロ棋士になることは出来なかった。年齢制限の壁にぶつかりあきらめる人もたくさんいる世界だ。それでもあきらめられなかった時、違う方法があってもいいのではないかと声をあげてもいいのか苦悩するシーンがある。
何事においても初めてなにかをするということはとてつもない苦労や勇気が必要だ。
あきらめることは簡単だけど挑戦することはこんなにも大変で苦労の連続だ。そこまでしてでも叶えたい夢があるって素晴らしい。

「趣味は将棋と世の中に胸をはって言えるようになりたい」という台詞がなにげない会話のなかで話されるのがとても印象的だった。
自分の好きなことを好きと胸を張って言えることは、きっと自分自身を好きでいられることでもあり誰よりもかっこいい。
主人公は優しい性格だけど内に秘めた思いの強さは誰よりも強く、だからこそ自分の為にだけ戦う将棋ではなく応援してくれる人の思いも背負って戦うことが出来たのだろう。
夢を現実にするのは自分自身であると背中を押される作品だ。

(文/杉本結)

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『泣き虫しょったんの奇跡』
絶賛公開中!

監督:豊田利晃
出演:松田龍平、野田洋次郎、永山絢斗、染谷将太、渋川清彦 ほか
配給:東京テアトル

2018年/日本映画/127分
公式サイト:http://shottan-movie.jp
© 2018 「泣き虫しょったんの奇跡」製作委員会 © 2018 瀬川晶司/講談社

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