もやもやレビュー

ゲームと現実の境目はどこにあるのか? 『NERVE 世界で一番危険なゲーム』

『NERVE 世界で一番危険なゲーム』は、2017年1月6日(金)より公開です!

 現代のテクノロジーが発展するにつれて娯楽の精度もどんどんグレードアップしているのは誰もが感じているだろう。遊園地に行ったら3D、4Dは当たり前。最近では映画の世界も3Dは当たり前だ。3Dが登場した当時『アバター』を3Dで鑑賞後とてつもない衝撃を受けたわけだが、もうその感動も忘れてしまった。そうするとまた新しい映画の楽しみ方を考える。そう。4Dである。遊園地に行かなくとも映画館に行けば飛び出す映像と乗り物のような動く椅子に座ってシーンに合わせた様々な匂いや風、時には水を浴びながら映画を気軽にみる時代がやってきているのだ。

 映画館ももはや遊園地。そして2016年を思い出した時に社会現象となった「ポケモンGO」の存在は避けては通れない。ゲームをするために携帯片手に子供も大人も街中をうろうろする姿をアナログ人間もしくは過去からやってきた人間がみたらどのように映るのだろうか? 間違いなく「不審者」であろう。実際になにもない場所で突然に立ち止まったり座り込む人がいる。携帯の画面の中にはポケモンというキャラクターが現われたり、使用者達が陣地を取り合っていたりする。

 ゲームと現実がリンクしつつある。

 この映画ではインターネット上のゲームに「WATCHER」or「PLAYER」が存在し、ゲームに参加する「PLAYER」を選択すると簡単なことから課題が与えられていきその課題に挑戦する様子をネットで「WATCHER」に配信する。これを繰り返しファンを増やして次々と過激な指令を遂行するというもの。成功すると自分の口座に賞金が振り込まれていくのも若者に流行りそうな手法だ。ただし、参加したら途中で棄権することはできない。指令がハードになるにつれて目が離せない度も急上昇。『ザ・ウォーク』以来の手に汗握る綱渡りならぬはしご渡りが待っている。

NERVE_sub2.jpg

 一人ではクリアできない難題も他のPLAYERと協力してクリアしていく冴えない主人公ヴィーが協力者として選んだ相手イアンは本当に信用できる男なのか? このドキドキは刺激的な非日常に対するドキドキなのか? それとも恋なのか? オンラインゲームに飽きた現代人が突き詰めるゲームの形とそのつきあい方を、スクリーンの前の私たちへと突きつける! 特にSNSに依存気味の現代人にはオススメ。
 ありそうでなかったゲームは意外なラストへたどり着く。

 監督は『パラノーマル・アクティビティ』シリーズ3&4作目のコンビということで心拍数を上げさせるのが得意なのかもしれない。
 また、主人公ヴィーを演じるエマ・ロバーツは『なんちゃって家族』でのパンチの効いた役が記憶に新しい。相手役イアン演じるデイヴ・フランコは『グランド・イリュージョン』など話題作の出演が続いている。

NERVE_sub1.jpg

主演のエマ・ロバーツ

 今勢いのある若手俳優が体をはった熱演シーン連発で役者として一皮むけたと絶賛される本作は必見!

(文/杉本結)


***
『NERVE 世界で一番危険なゲーム』
2017年1月6日(金)より公開!

監督:ヘンリー・ジュースト、アリエル・シュルマン
脚本:ジェシカ・シャーザ
出演:エマ・ロバーツ、デイヴ・フランコ、ジュリエット・ルイス ほか
配給:プレシディオ

2016/アメリカ/96分
公式サイト:http://www.start-nerve.jp

« 前の記事「もやもやレビュー」記事一覧次の記事 »

BOOKSTAND

BOOK STANDプレミアム