『箱入り息子の恋』を観て、親との関係に思いをはせる。
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ドラマ「逃げ恥」の大ヒットで、完璧に国民的人気を得た星野源さんが、3年前に映画初主演した作品『箱入り息子の恋』。ロスな人にもおすすめの一作です。
自宅と職場(市役所)を往復するだけの日々を送っていた天雫健太郎(星野源)は、35歳にして恋愛経験ゼロ。人付き合いが苦手で、趣味はカエルの飼育です。見兼ねた両親は、親同士が婚活をする"代理見合い"に参加。今井家の一人娘・奈緒子(夏帆)とお見合いすることに。奈緒子は実は全く目が見えません。そうして様々な障害がありながらも、健太郎と奈緒子は惹かれあっていきます。
二人が距離を縮めていく恋愛模様もとても良いのですが、それぞれの両親がとってもいい味を出しているんです。
両親が健太郎に初めてお見合い話をもちかけた時のこと。予想通り断られた父(平泉成)は、健太郎が夢中になっているTVゲームで、自分が強敵を倒すことができたらお見合いをしてほしいと、お願いします。強引にやらせるのでも、説教するのでもなく、息子の土俵に立った依頼の仕方がすばらしい! 一方の母(森山良子)も、ゲームに苦戦し徹夜したあげく寝てしまった父に代わり、家事の途中でこっそり敵を倒してあげ、息子の見合いにこぎ着けます。なぜかゲームが上手すぎです。
対する菜穂子の父(大杉蓮)は会社の経営者。市役所に務めて以来ずっと記録係で昇進もしていない健太郎を毛嫌いし、大事な一人娘を守れるはずがないと決めつけます。しかし奈緒子の母(黒木瞳)は、健太郎に興味を示した奈緒子を応援し、父(大杉蓮)に内緒で、健太郎に会わせてあげます。そうして奈緒子と健太郎のデートを見守ります(初キスも見届けたりしながら)。
親の心配をよそに子は成長したり、自立していきます。でも、親にとって子供はいくつになって子供。その心配の仕方や愛情の表し方は人それぞれですが、ふたりの両親の姿からは、子育てのヒントがたくさんもらえます。
(文/森山梓)