『月刊予告編妄想かわら版』2026年9月号
毎月下旬頃に、翌月公開の映画を各週一本ずつ選んで、その予告編を見てラストシーンやオチを妄想していく『月刊予告編妄想かわら版』六十一回目です。
果たして妄想は当たるのか当たらないのか、それを確かめてもらうのもいいですし、予告編を見て気になったら作品があれば、映画館で観てもらえたらうれしいです。
9月公開の映画からは、この四作品を選びました。
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『バックルームズ』(09月04日公開)
公式サイト:https://a24jp.com/films/backrooms/
予告編:https://youtu.be/Wul77kjYih4
16歳で発表したYouTube短編動画「The Backrooms (Found Footage)」が伝説となり、19歳になったケイン・パーソンズ監督がA24と組んで世界中で大ヒットとなっている『バックルームズ』。
「見つけたんだ。店の中で。場所だ。"ある場所"を見つけた」とセラピストのメアリー(レナーテ・レインスヴェ)に話す家具店の店主クラーク(キウェテル・イジョフォー)。自身の店の壁の奥に謎の巨大な"リミナルスペース"を見つけたクラークは毎晩そこに入って、少しずつ地形を把握するために地図を作っていたのが予告編を見るとわかります。
また、従業員らしき若い男女と一緒にビデオカメラを持って中に入って調査して、記録をしている映像も見ることができます。さらにこの場所にメアリーもやってくるようです。
ここからは妄想です。「世界44ヵ国初登場1位」「"脳を侵食する新体験"」という冒頭のコピーを見ると、不思議で巨大な"リミナルスペース"は現代を生きる私たちの共通の潜在意識を具現化したもののように思えてきます。
また、かつて宇宙の次のフロンティアだったのが電脳空間、インターネットでしたが、潜在意識と電脳空間が混ざり合って具現化した場所にも見えてきます。おそらく、そんな場所に迷い込んだら、誰も脱出できずに、飲み込まれてしまうはずです。最後には誰もいなくなって、この巨大な空間だけが残されるラストではないでしょうか。
『バックルームズ』
9月4日(金) TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
配給:ハピネットファントム・スタジオ
© 2026 Backrooms Rights LLC, PC Films, LLC. All Rights Reserved.
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『オデュッセイア』(09月11日公開)
公式サイト:https://odyssey-film.jp/
予告編:https://youtu.be/0kMXZmA5K00
『インターステラー』『オッペンハイマー』で知られるクリストファー・ノーラン監督最新作は、トロイア戦争の英雄・オデュッセウスの10年に及ぶ、壮大な故郷への帰還の旅を描いた『オデュッセイア』。
トロイア戦争を終えたイタケの王オデュッセウス(マット・デイモン)は妻のペネロペ(アン・ハサウェイ)と息子のテレマコス(トム・ホランド)の待つ故郷へ帰ろうとするが、神々の怒りを買った彼の前には幾多の試練が立ちはだかることになる。同時に、王の不在が続く故郷ではペネロペに求婚するアンティノオス(ロバート・パティンソン)の影が忍び寄り、父の帰りを願う息子も窮地に追い込まれていくことになるのが予告編を見るとわかります。
ここからは妄想です。と言いたいところですが、ほかにもアテナ役にゼンデイヤをはじめとし、シャーリーズ・セロンやラッパーのトラビス・スコットという全員主役級のオールスターキャストという超大作になっているのも期待できます。
そして、今作はクリストファー・ノーラン監督がこだわった長編映画史上初となる全編IMAX撮影も見どころになっており、これはもう映画館で観るしかない、という作品になっています。スマホで動画が誰でもどこでも簡単に見れるようになった時代だからこそ、大画面のスクリーンによる圧倒的な没入感を味わいに映画館に足を運んでみませんか?
『オデュッセイア』
9月11日(金) 全国ロードショー
配給:ビターズ・エンド、ユニバーサル映画
© 2026 UNIVERSAL STUDIOS
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『さとこはいつも』(09月18日公開)
公式サイト:https://happinet-phantom.com/satoko/
予告編:https://youtu.be/b6Zi9uxRumc
映画『横道世之介』『さかなのこ』などを手掛けてきた沖田修一監督によるオリジナル最新作『さとこはいつも』。
15歳の中学生・中井聡子(姫野花春)は芸術鑑賞教室の感想文を提出した所、先生から「おもしろいわ。歌舞伎を観ないで書いた子の中ではダントツだわ」と言われバツが悪そうです。映画配給会社に勤めながらバリバリ仕事をしている35歳の西田沙都子(有村架純)は村本(オダギリジョー)と不倫中ですが、冒頭では村本の妻らしき女性に包丁で刺されて入院してしまう。55歳の主婦の飯島里子(石田ひかり)は子育てもひと段落して、久々にできた自分の時間で忘れていた大切な夢を思い出す。三者三様の"さとこ"たちを描いた物語のようです。
ここからは妄想です。「誰でも、1冊なら自分の本が書けるんだって」という司書なのか書店員らしき男性の声と共に、三人の"さとこ"たちが物語を書いていく姿を予告編で見ることができます。「好きなだけ書くといいよ」「好きなだけ書きなさい」「好きなようにやったら」とそれぞれの背中を押す声も聞こえてきます。
里子が描く物語は聡子で、聡子が描く物語が沙都子で、沙都子が描く物語が里子というトライアングルなのかもしれません。みんながそれぞれの世界では実在し、誰かの世界におけるフィクションだったというラストかもしれません。
『さとこはいつも』
9月18日(金) TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
配給:ハピネットファントム・スタジオ
©2026 「さとこはいつも」製作委員会
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『ナギダイアリー』(8月28日公開)
公式サイト:https://starsands.com/nagidiary/
予告編:https://youtu.be/ByhHZ9kUgaE
第79回「カンヌ国際映画祭」コンペティション部門に正式出品され、海外メディアからも高い評価を集めている深田晃司監督作『ナギダイアリー』。
岡山県奈義町がモデルとなった自然豊かな町「ナギ」で創作に打ち込む彫刻家の寄子(松たか子)の元に、東京で暮らす建築家の友梨(石橋静河)が訪ねてくる。寄子の幼馴染である好浩(松山ケンイチ)の息子とその友だちの前で、寄子は友梨のことを「この人は元姉妹」と抱き寄せたり、友梨が「寄子さんに私会いたかったのは、寄子さんがとても孤独に見えたから」というシーンも予告編で見ることができます。
ここからは妄想です。「寂しくないの?」「寂しい時は寂しいよ。どこにいたって」という元義理の姉妹の会話も予告編にあるように、友梨は東京での生活に疲れたり、なにか個人的に悲しい出来事があって、寄子に会いたいと思って訪ねてきたのでしょう。
寄子は友梨をモデルにして、粘土で首像彫刻を作っているシーンもあり、元夫の姉から見える自分の顔に新しい「わたし」に友梨は出会うのではないでしょうか。それは迷いのあった彼女にとってのある種のセラピーとなるはずです。また、9日間のスケッチと謳われているようにナギには友梨は数日間だけの滞在で終わるはずですが、最後は後日、彼女に会いに寄子が東京に向かうラストもいいかもしれません。
『ナギダイアリー』
9月25日(金) 新宿ピカデリー、ユーロスペース ほか全国ロードショー
配給:スターサンズ
© 2026 ナギダイアリー・パートナーズ (スターサンズ/八朔ラボ/ワンダーストラック) / Survivance / Momo Film Co.
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文/碇本学
1982年生まれ。物書き&Webサイト編集スタッフ。

