関ヶ原の戦いも元寇も「天気」が左右した? 気象から読み解く驚きの日本史

「天気」が動かした日本史: 歴史を変えた戦い、飢饉、未解決事件……のカラクリ (知的生きかた文庫 さ 63-1)
『「天気」が動かした日本史: 歴史を変えた戦い、飢饉、未解決事件……のカラクリ (知的生きかた文庫 さ 63-1)』
斎藤 義雄,金谷 俊一郎
三笠書房
847円(税込)
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 日本の歴史を大きく塗り替えた戦いや事件の数々。「もし〇〇が××だったら、歴史は変わっていたかもしれない」と想像するのは、歴史好きな人にとって楽しいひとときなのではないでしょうか。

 今回紹介する『「天気」が動かした日本史: 歴史を変えた戦い、飢饉、未解決事件......のカラクリ』は、日本史上のできごとの数々を「天気」から読み解くというユニークな一冊。本書を読むと、これまで知っていたはずの歴史がまったく別の顔を見せ始めるかもしれません。

 たとえば、おそらく誰もが学校で一度は習ったことがある「元寇(げんこう)」。鎌倉時代中期、モンゴル民族が中国大陸に建国した「元」が二度にわたって九州に侵攻した事件のことで、神が日本を守るために起こした「神風」により、元軍は撤退したと言われています。

 この暴風とはいったいなんだったのでしょうか。天気の面から見てみると、一度目の襲来である「文永の役」では、「低気圧に伴う寒冷前線が通過して西高東低型の気圧配置になった」ことが考えられるそうです。これは11~3月頃までにときどき現れる気圧配置で、寒冷前線が通過する前は南西風が吹き、通過後は北西からの強風が吹くのが一般的とのこと。そのため、「南西風に乗って博多湾を出た元軍の船団が、しばらくして北西の大暴風に見舞われたと考えると大きな矛盾がなく説明できる」(本書より)といいます。

 そして、二度目の襲来「弘安の役」での暴風雨は、台風だった可能性が高いそう。近年、元寇の際に沈没したと思われる船が発見されていることから、本書では、元の船団が強風をともなう「危険半円」に入ったのではないかと指摘されています。「神風」と聞くと、なにやら神秘的なイメージがありますが、本書ではこうした二つの気象現象により鎌倉幕府は救われたと読み解いています。

 そこから少し時を経た戦国時代、今も有名な戦の一つが、織田信長が今川義元を倒した「桶狭間の戦い」です。このとき、義元軍が信長軍の奇襲に気づかなかった背景にも、「雷雨」という気象現象が大きく影響していた可能性があると考えられるといいます。また、その信長を裏切った明智光秀が羽柴秀吉(豊臣秀吉)に討ち取られた「山崎の合戦」では、梅雨の天候や日付の巡り合わせで秀吉側が有利になったという見方が紹介されており、知らない人も多いかもしれません。

 このほかにも、壇ノ浦の戦いや関ヶ原の戦いなど有名な戦いから、赤穂浪士の討ち入りや桜田門外の変といった江戸時代の事件、さらには東京大空襲や三億円事件など、比較的現代に近いできごとまで、天気という視点から歴史を読み解いている本書。どれも「この日がこの天気じゃなければ......」と思わせられるケースばかりで、非常に興味深く感じられます。「天が味方した」とはよく聞く言葉ですが、「天"気"が味方した」ことで運命が大きく変わったとみられる局面が歴史には多々あることを、本書は教えてくれます。

[文・鷺ノ宮やよい]

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