もやもやレビュー

北宋の時代に機械の怪獣が暴れる荒唐無稽を楽しむ『機関獣 メカニック・モンスター』

機関獣/メカニック・モンスター(字幕版)
『機関獣/メカニック・モンスター(字幕版)』
チェン・チェン,レイ・カイ,ヤン・フーユー,ツァオ・グオタオ,チュー・シャオロン
商品を購入する
>> Amazon.co.jp

 古代中国の衣装を着た登場人物とロボット怪獣という並びに惹かれてうっかり視聴してしまった本作は、バカ映画には違いないが「娯楽ってこういうのでいいよな」と思わせる丁寧な作りで思わずびっくり。最近視聴した中国映画がことごとく酷かったので一服の清涼剤となるような作品だった。もっとも、何で北宋時代の中国に機械の怪獣がいるのか?という疑問には一切答えてはくれていないのだけど。あと、機械の怪獣は登場シーンによって大きさが変わる雑さも気にはなるけど。

 北宋の時代、謀反の計画を捜査していた役人が謎の怪物に殺害される事件が発生する。事件を追う主人公の展昭は、近衛将軍である鄧車の甥・鄧六郎と一緒に都で一番のカラクリ技術者である勝魯班に協力を仰ぐが、その正体は公輸霊という若い女性だった。展昭、鄧六郎、公輸霊の3人は事件の手掛かりを求め調査を始める――というあらすじ。

 公輸霊は家伝の書物と事件現場に残された部品から、犯行に用いられた機関は玄武だと推測。玄武を動かすには特殊な部品が必要であることから機関を取り扱う店で店主を聴取しようとした次の瞬間、刺客が現れ店主を殺害。展昭らは刺客を撃退するも手掛かりを失ってしまう。しかし、刺客が持っていた札を公輸霊が分析すると敵の居場所が判明。刺客は全身黒ずくめで世を忍んでいる感じなのに、そんなポカをするだろうか?と考えてしまったがそういうことを言い出すと物語は転がらないので仕方がない。
 さまざまな罠を乗り越え敵地に進入すると、見るからに怪しげな鉄仮面の男が。しかし男は逃げ出し、その過程で公輸霊は毒針を受けて生死をさまようことに。

 場面変わって鉄仮面は黒幕を訪ねて状況を報告。黒幕の正体は近衛将軍である鄧車。そして公輸霊を毒針で刺したのは鄧六郎だった。
 ここで鉄仮面の男の正体が明かされる。かつて家門を再興させようと父の教えに背き、その結果勘当された公輸精という公輸霊の兄だった。

 各人の思惑が交錯する中、天慶節の宴が催されそこにメカ玄武が登場。登場時は門より大きかったのに戦闘シーンでは背丈が人より少し高いくらいに縮んでいるが、気にしてはいけない。おまけに出てくるなり兵士たちに燃やされ即座に退場。そのごたごたの中、皇帝が登場し鄧車らを捕らえさせ一挙解決。かなり力技な終わり方で今までのシーンは何だったのか?という疑問を禁じ得ない。

 ベタな上、物語の描き方にも粗は目立つがB級映画にありがちな無駄に凝って収拾がつかなくなった作品を散々視聴してきた身にはシンプルな内容が心地よい。細かいことを気にしなければアクションシーンも迫力がありエンタメとして楽しめる。

 B級映画としては上質な部類だが、そもそも優れたエンタメ作品が山ほどある中であえて視聴する必要があるか?と問われると全くその必要はなかったりする。

(文/畑中雄也)

« 前の記事「もやもやレビュー」記事一覧次の記事 »

BOOK STANDプレミアム