墜落事故の音声に取り憑かれた捜査官の行末は...『ブラックボックス:音声分析捜査』
- 『ブラックボックス:音声分析捜査(字幕版)』
- ヤン・ゴズラン,ヤン・ゴズラン,ピエール・ニネ,ルー・ドゥ・ラージュ,アンドレ・デュソリエ
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『イヴ・サンローラン』でセザール賞有望新人男優賞にノミネートされたピエール・ニネが出演するサスペンススリラー『ブラックボックス:音声分析捜査』。優秀な捜査官が飛行機墜落事故のあとにブラックボックスを分析するも、音声から不穏なものを感じとり、やがて取り憑かれたように真相究明に挑むと言うもの。"取り憑かれる"といっても、ホラー的要素は全くなく、人間が一つのものに熱中し執着していく姿を描く興味深い一本。
最新の旅客機が墜落し、乗客全員が亡くなる事故が発生。分析チームは、ブラックボックスの音声記録を取り出し、解析を始めます。事故発生時、優秀な分析官のマチュー(ピエール・ニネ)はなぜか主任のポロックとの同行を断られていたのですが、解析が始まった頃にポロックが失踪。マチューは解析担当を任せられ、プロの腕前でテロリストの声の聞き取りに成功。その一方で、生前の乗客が残した留守電の音声がブラックボックスと一致しないことに気づきます。そこから、真相究明に挑むも、周りからは「考えすぎ」「執着しすぎ」「君の仕事は"妄想"ではなく解析だ」と言われてしまう始末。やがてマチューは自分の私生活も犠牲にしてまで真相に迫ろうとしますが......。
冷静な分析官が、上司の命令に背き、独自で捜査を開始していく過程でどんどん精神にも追いやられる......。その精神疲労の部分をピエールが細かい表情作りや仕草で観客に伝えていく。その演技に圧倒されました。大手映画評論サイトRotten Tomatoesでの批評家スコアは94%(8月27日時点)とかなり高い作品。「脚本がスマート」「良質なスリラー」と言う声も見受けられました。巧妙なストーリーが好みという方におすすめしたい一本です。
(文/トキエス)