もやもやレビュー

開始45分後に物語が一変『フロッグ』

フロッグ(字幕版)
『フロッグ(字幕版)』
ヘレン・ハント,ジョン・テニ-,ジュダ・ルイス,オーウェン・ティーグ,アダム・ランドール,デヴォン・グレイ
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 ヘレン・ハントが主演を務めるスリラー映画『フロッグ』。とある家で怪奇現象が起き始めるというストーリーで、最初の45分は普遍的でやや退屈なスリラー映画となっていますが、その後、物語が一変。とんでもない方向へ進んでいく作品でした。ちなみに本作の原題は「I SEE YOU」。邦題が原題とは全く違ってなぜ「フロッグ(カエル)」?と思うかもしれませんが、その意味は、物語の後半に明らかになります。

 森の中で自転車を走らせていた少年が、急に宙に舞い、失踪してしまう。そんな超異常現象とも見えるようなシーンから始まるこの映画は、少年失踪事件を追うグレッグ・ハーバー刑事と、彼の家族に焦点が当てられます。グレッグの家では妻のジャッキー(ヘレン・ハント)が、10代の息子コナーにパンケーキを焼いてあげたりお小遣いをあげたりと機嫌を取ろうとしていました。その原因は、ジャッキーの不倫。不倫を知ったコナーは、母を軽蔑していました。決して平和ではない空気が漂うハーバー家では、急に銀食器が消えたり、テレビが勝手についたり、また逃げ出したハムスターを追ったグレッグがクローゼットに閉じ込められたりと、不可解な現象が起こり始めます。

 不可解な現象が何度も起こり、その原因を掴むことができないまま物語が進んでいく。前述した通り、前編はちょっと退屈にも感じてしまいますが、後半にその現象の「答え合わせ」が始まります。映画もPOVスタイル(登場人物のカメラ視点)に変わり全く別の映画が始まるような不思議な感覚もありました。そして最後にはビッグサプライズが。視点の変化によって、こんなにも映画って面白くなるんだ!と感じさせられたトリック満載の一本でもありました。

(文/トキエス)

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