輝くダイヤに隠された美しくない真実 『ブラッド・ダイヤモンド』
- 『ブラッド・ダイヤモンド (字幕版)』
- レオナルド・ディカプリオ,ジャイモン・フンスー,ジェニファー・コネリー,マイケル・シーン,アーノルド・ボスロー,チャールズ・レビット,エドワード・ズウィック,ポーラ・ワインスタイン,マーシャル・ハースコビッツ,グレアム・キング,ジリアン・ゴーフィル,エドワード・ズウィック,ポーラ・ワインスタイン,マーシャル・ハースコビッツ,グレアム・キング,ジリアン・ゴーフィル
- >> Amazon.co.jp
高級ジュエリーに興味を持てない誰であれ、宝石の王者に君臨しているのがダイヤモンドであることくらいは当然のように知っているだろう。ライバルである真珠と人気を競った時代もあるものの、その美しさと希少さから、世界でもっとも高額な宝石に鎮座し続けている。
そんなダイヤを、高い身分を表したり、ファッションを彩るものとしてではなく、物的価値や歴史という観点から見てみると、さてどうだろう。そこには壮絶な事実が隠されている。90年代、多くの鉱物が埋蔵されているアフリカでは、ダイヤが反政府軍の資金源となってしまい、その影響で紛争が悪化、長期化したことから「紛争ダイヤモンド」と呼ばれるようになっていたのだ。
映画『ブラッド・ダイヤモンド』は1990年代後半、内戦のつづくアフリカのシエラレオネを舞台に、漁師の若者がダイヤの不正取引や利権争いによる犠牲に巻き込まれる様を描き出す。終始、しんどく重苦しいシーンが続くが、若きレオナルド・ディカプリオの醸し出す雰囲気のおかげで、ぐっと最後まで引っ張っていってくれる、そんな感じがある。
時代は流れ、現在。紛争ダイヤモンド問題は収束したと言われてはいるものの、今だに搾取されている採掘者はいる。危ない労働環境、児童労働も。美しいダイヤの輝きが、脆い現状を生み続けていることに愕然とする。
一方で、人工ダイヤモンドのクオリティは格段に良いものになっている。ディカプリオもシリコンバレーにある合成ダイヤの製造会社社へ投資をしているとか。いつか買うのなら、そんなものから選びとりたい。
(文/峰典子)