もやもやレビュー

独特な世界観が癖になる『NOCEBO/ノセボ』

『NOCEBO/ノセボ』 12月29日(金) 新宿ピカデリーほか全国ロードショー

本作の監督を務めるのは、ホラー映画界の新鋭ロルカン・フィネガン。家の内覧をしたカップルが住宅街から抜け出せなくなる、そのあまりに不条理な展開が大きな話題を呼んだ前作『ビバリウム』(2021)で、世界中の映画ファンを震撼させたのも記憶に新しい。
そんなフィネガン監督が、待望の新作 『NOCEBO/ノセボ』で描くのは、またしても家族が巻き込まれる不思議で不気味な世界だった。

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ファッションデザイナーとして名を馳せるクリスティーン(エヴァ・グリーン)は、夫のフェリックス(マーク・ストロング)と幼い娘のボブス(ビリー・ガズドン)とダブリ ン郊外で悠々自適に暮らしていた。ある日、仕事中にクリスティーンはダニに寄生された犬の幻影に襲われる。8 ヶ月後、クリスティーンは筋肉の痙攣、記憶喪失や幻覚などを引き起こす原因不明の体調不良に悩まされていた。
そんな彼女の前に、ダイアナと名乗るフィリピン人の乳母が現れる。彼女は雇った覚えのない乳母を最初は怪しむが、ダイアナは伝統的な民間療法を用いてクリスティーンの治療にあたり、彼女の信頼を得ていく。やがてクリスティーンは民間療法にのめり込んでゆくが、それは一家を襲う想像を絶する悪夢の始まりだった――

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劇中、赤と青という対象的な色で視覚的に訴えてくるのが印象的だった。
クリスティーンの真っ赤なルージュ、真っ赤な靴と最初は気になる程度から段々と赤色が不吉なことが起こるサインのように感じてくる。
それとは反対に旦那のフェリックスの背景や服はいつも青かった。劇中で私たちと近い存在として冷静に普通の感覚でいるのがフィリックスだったように感じた。
クリスティーンとダイアナのやっていることは怪しげで2人の末路が気になり引き込まれた。そこに、子供が危ないめにあったり巻き込まれるからハラハラする気持ちも加わり良いスパイスになっていた。

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突然現れた乳母の正体とその目的はなんなのか? そして何かに追い込まれたクリスティーンが辿る末路とは―?
ぜひ劇場でお楽しみください。

(文/杉本結)

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『NOCEBO/ノセボ』
12月29日(金) 新宿ピカデリーほか全国ロードショー

監督:ロルカン・フィネガン
出演:エヴァ・グリーン、マーク・ストロング、チャイ・フォナシエ、ビリー・ガズドン
配給:クロックワークス

2022/アイルランド・イギリス・フィリピン・アメリカ/97分
公式サイト:https://klockworx-v.com/nocebo/
予告編:https://youtu.be/AN56Vk4yFmU
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