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主人公を全力で応援しちゃう『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』

エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ(字幕版)
『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ(字幕版)』
エルシー・フィッシャー,ジョシュ・ハミルトン,エミリー・ロビンソン,ジェイク・ライアン,ルーク・プラエル,ダニエル・ゾルガードリ,フレッド・ヘッキンジャー,ボー・バーナム,ボー・バーナム,Eli Bush,Tom Ishizuka,Jamin O'Brien,Scott Rudin,Christopher Storer,Lila Yacoub
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中学生の頃の自分は、どんなタイプの子だっただろう。だれかれかまわず話しかけて、すぐに友達ができちゃう子だっただろうか。なんだかもじもじしてしまう子だっただろうか。中学3年生の最後の1週間を描く『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』(2018年)の主人公、ケイラ(エルシー・フィッシャー)は、間違いなくもじもじしてしまうタイプである。そのうえ、友達がいない。彼女は緊張しいなうえ、学校では「静かな子キャラ」が定着し、若干透明人間と化してしまっている。そんなイメージを打破するためか、クールな女の子を演じるためか、オンライン上では同じ境遇の子に向けて、自己啓発動画をYouTubeに上げている。内容は「自信をつける方法」「殻を破る方法」、最後には必ず流行り言葉の「グッチ〜!」で締めくくる。ところが視聴回数は3、またはゼロ......。

思春期のひとりぼっちほど恐ろしいものはないが、動画で伝授するアドバイスをモノにしようと、ケイラはびくびくしながらもがんばって殻を破ろうとする。そんな彼女を見ているだけでも感情が込み上げてくるのだが、それ以上に涙を誘うのは彼女を影で支えるパパ(ジョシュ・ハミルトン)だ。ぎこちなさは親譲りかも......とつい思ってしまうような不器用さをまとっているが、ケイラが珍しく友達と遊びに行くと、遠くから見張っちゃうほど愛は深い。

孤独な中学生のストーリーとなるとウンと悲しくもなり得るが、監督・脚本を手がけたボー・バーナムは、パパ含め、懐が深いキャラをところどころに出現させることで、じわりじわりと希望を見出す。そしてすぐに笑いを誘うような脚本でありながらも、ケイラがちょっとしたパニック発作を起こす場面や、年上の男の子に絡まれてどうしたらいいかわからない場面など、割とリアルな不安をうまくねじこませてくるところはなんとも絶妙だ。

(文/鈴木未来)

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