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リアルな死の追体験『VORTEX ヴォルテックス』

『VORTEX ヴォルテックス』 公開中

今回紹介する『VORTEX ヴォルテックス』という題名。聞きなれない言葉だったので最初にどんな意味なのか調べてみた。
日本語に訳すと「渦巻き」という意味だった。だがスピリチュアル的な言葉として引き寄せの法則を語る際に多く使われる言葉だということもわかった。
「病」と「死」をテーマに鬼才ギャスパー・ノエが表現する本作の世界には、スピリチュアル的な要素の意味も含まれているように感じた。

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認知症を患う妻と心臓病を抱える夫の人生最期の日々が、スプリットスクリーンの画面分割によって、2つの視点から同時進行で映し出される。
心通わぬ家族、不測の出来事、やがて訪れる死。我々は、暴力なき恐怖の渦に吸い込まれ 、"死ぬまで"を追体験する。

まず、最初に映画が始まった瞬間がエンドロールだったことに驚いた。あれ?私、上演時間間違えたかしらと思う人が現れかねないほどにエンドロール。1970年代の映画はスタッフロールが確かに冒頭にあった。だけど、そこには関係者全員の名前はなく短いものだった。全員の名前が出ることになってから最後にもっていくようになったという背景がある。今回の場合、私たちが最近の作品でよくみるエンドロールが冒頭にあったから驚きがあった。

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さらに、全編にわたり画面が2分割されている。2人を1つずつの画面に映し出しているのだ。これは面白い試みだった。

人生の最期、夫婦のどちらが長く生きるのか。看取ることになるのか。それが淡々と描かれていた。
あぁ、もうすぐ死んじゃうのかなと察したりするところまでリアルな感じがして、苦しくもなった。

自分の最期の時を考えると家族とのこれまでの関係性がとても大切だと思えた。終活について思いを巡らせるにも、とても良い作品だった。

(文/杉本結)

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『VORTEX ヴォルテックス』
公開中

監督・脚本:ギャスパー・ノエ
出演:ダリオ・アルジェント、フランソワーズ・ルブラン、アレックス・ルッツ
配給:シンカ

原題:VORTEX
2021年╱フランス/148分
公式サイト:https://synca.jp/vortex-movie/
予告編:https://youtu.be/wjh8WnczXnE?si=-hlfwZL9ysVJva7q
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