単純なシチュエーションスリラーを味わいたいなら『フローズン』

　2010年のアメリカの映画『フローズン』。ホラー映画といえば、サクッと楽しみたいジャンルでもあります。それだからこそ、時にシンプルであることが大切。本作は、まさにそんな複雑なストーリーライン一切なしでスリルを味わいたいという時におすすめできる一本です。

昔からの友人であるダンとジョー、そしてダンの恋人のパーカーの３人は、スキー旅行へとやってきました。スキーはもともとダンとジョーの友人間での毎年恒例行事だったのですが、ダンが彼女を連れてきたことから、少し不満を抱えるジョー。そんな３人は、日が暮れる前に最後の滑りを楽しもうとリフトに無理やり乗り込みますが、山頂でリフトが突然停止。大声を出して助けを呼ぶものの、誰にも届かず......。地上15メートルの空中に置き去りにされた３人が最初に気づいたこと、それは、今日が日曜日で、次ゲレンデがオープンするのは約1週間後だということでした。マイナス20度の極寒に耐えながらなんとか助けを呼ぼうとしますが......。

　本作のポイントは、リフトに閉じ込められてから、口論などの"トラブル"で、ストーリーに飽きない程度に緊張感が徐々に増していくということ。もちろん極寒の中での痛々しいシーンも満載。IMDbによると本作、グリーンスクリーンやCGIが使われておらず、全て実写で撮影されていたそうです。この大学生３人を演じた俳優は本物の山の斜面で、本当に15メートル以上の空中に吊るされ撮影したといいます。しかし、実写で撮影されたとは思えないようなチープな特殊メイクが、ちょっと残念ポイント。シチュエーションスリラーはたくさんありますが、これまで見た中で一番単純かもしれません。

（文／トキエス）