強烈なサバイバル・スリラー『海底47m』

　サメが登場するホラー映画といえば、やはり『ジョーズ』でしょう。スティーブン・スピルバーグの演出、ジョン・ウィリアムズのあの印象的な音楽、そして俳優たちの名演技などが相まって、そこから"サメのパニック映画"はとてつもなく人気を博しました。しかし、それ以来、"サメのパニック映画"が数々撮影されるもの、「名作」と呼ばれるようなものはなかなか誕生しませんでした。しかし、2016年の『ロスト・バケーション』や、2018年の『MEG ザ・モンスター』の公開により、このジャンルが再び盛り上がりを見せています。今回ご紹介する『海底47m』も強烈なサバイバル・スリラーに仕上がっているので、"サメのパニック映画"が好きな方は要チェックです。

　本作は、姉妹のリサとケイトの物語。姉のリサはボーイフレンドと別れたばかりで、2人は休暇でメキシコ旅行に来ていました。ケイトは地元の人から、ケージに入ってダイビングすればサメを身近で見られることができるというアクティビティについて教えてもらい、早速挑戦することに。リサは、人一倍不安を持つキャラクターなのか、ケイトのこの案に乗り気ではありませんでした。しかし、別れたボーイフレンドに「退屈な女」だと思われないよう、サメと撮影した写真を撮ることを決断。2人は海の中のケージに入るのですが、何とケージのケーブルが故障し、2人は海底47メートルへと一気に沈んでしまいます。船との交信も途絶え、酸素ボンベの量もあと少ししか持たない...さらに人喰いザメがウヨウヨ。そんな海底で、2人は決死の脱出に挑みます。

　姉のリサはダイビング未経験者のため、全てに対してオーバーリアクション。妹のケイトが「ゆっくり深呼吸しなくちゃ、酸素もその分減っていく」と教えても、「あなたの酸素ももう切れる」「どうしよう、このまま死ぬのね」とパニック状態。それは、「もうちょっと落ち着いてよ...」と見ている側の私たちにもケイトの苛立ちや不安が伝わってくるほど。ダイビングツアーといえば、「非現実的なことが味わえる楽しいもの」というイメージが強いですが、機材の欠陥などで一気に悲劇に変わるということを思い知らされた作品でした。

（文／トキエス）