もやもやレビュー

出会いと別れの季節に『女子高生に殺されたい』

『女子高生に殺されたい』 4月1日(金)より全国公開中

原作は『ライチ☆光クラブ』や『帝一の國』などで知られる古屋兎丸。
上記の作品は映画化もされているが、本作もまさかの映像化!
題名からも察しがつくように、内容はとてもセンシティブな内容となっている。だけど、見てはいけないものほど真相を知りたくなる人間の心理をよくついた脚本が、お見事だった。

女子高生に殺されたいがために高校教師になった男・東山春人(田中圭)。 人気教師として日常を送りながらも "理想的な殺され方"の実現のため、9年間も密かに綿密に、"これしかない完璧な計画"を練ってきた。 彼の理想の条件は二つ。「完全犯罪であること」「全力で殺されること」。 明るく平和な学園内で、静かに着実に男の計画は進んでいく―。

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この完全犯罪のために巻き込まれてゆく4人の少女の演技が1人ずつそれぞれに素晴らしく、『暗黒少女』をみた時の感覚を思い出した。
先生にチェスの駒のように操られていく少女達。その異変に気づくカウンセラーとしてやってきた元恋人五月(大島優子)の存在によって、春人の計画の歯車は狂い出しているようにも感じるが、それは本当に小さな歪みだったのだろう。
この作品から人との出会いには必ずなにか意味があるのではないかと感じられた。出会いと別れの季節だからこそみたい一本だ。

(文/杉本結)

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『女子高生に殺されたい』
4月1日(金)より全国公開中

監督・脚本:城定秀夫
原作:古屋兎丸「女子高生に殺されたい」(新潮社バンチコミックス)
出演:田中圭/南沙良、河合優実、莉子、茅島みずき、細田佳央太、加藤菜津、久保乃々花 キンタカオ/大島優子
企画・配給:日活

2022/日本映画/110分
公式サイト:http://joshikoro.com
©2022日活

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