もやもやレビュー

仕事から素敵な歳の重ね方を学ぶ『オートクチュール』

『オートクチュール』 3月25日(金)より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマほか全国公開

Diorのオートクチュール部門のお針子として働くエステル(ナタリー・バイ)は、ある日、地下鉄でジャド(リナ・クードリ)にハンドバッグをひったくられてしまう。若いジャドに自分の後継者としての才能を見いだしたエステルは、彼女を警察に突き出す代わりに、なんとアトリエで見習いとして面倒を見ることにする。二人はときには友達や親子のように衝突しながらも、共にひとつのものを完成させるため美を探求してゆく。

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正直、ドレスやファッションがテーマの中心にある映画は、おしゃれなだけで少し気取った作りであったり、ドキュメンタリー風であったりしてお客さんを選ぶような作品も多々ある。だけど、本作はどちらかというと『プラダを着た悪魔』のようにヒロインに魅力がありストーリーの内容にどんどん引き込まれていく。ドラマ性も充分なのである。

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そして、男女問わず楽しめる内容になっている! 社会人になると「なんのために仕事をするんだろう?』という疑問がふと湧き上がることがある。そんな疑問の答えをみつけるヒントが本作のなかにはあったように思う。
それは、『技』を磨き自分だけのものにするということ。どの仕事もきっと自分がいなくなってもある程度はまわるだろう。だけど、あの人がいたらすんなりと出来たなと感じる瞬間や、助言がもらえるだろうなと思う瞬間があって、そういう存在になることは仕事のやりがいや仕事を通して自分の居場所を作ることにつながっていくのだろう。

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本作で心に刺さった台詞がある。
「技を磨くのに遅すぎるということはない』
何歳になっても素敵な歳の重ね方は始めることができる、と背中を押してくれる一本だった。

(文/杉本結)

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『オートクチュール』
3月25日(金)より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマほか全国公開

監督:シルヴィー・オハヨン
出演:ナタリー・バイ、リナ・クードリ、パスカル・アルビロ、クロード・ペロン、クロチルド・クロ
配給:クロックワークス、アルバトロス・フィルム

原題:Haute Couture
2021年/フランス/100分
公式サイト:https://hautecouture-movie.com
© PHOTO DE ROGER DO MINH

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