もやもやレビュー

愛は、どこまで一体化できるのか――恋愛と恐怖が反転するボディ・ホラー『トゥギャザー』

『トゥギャザー』 2月6日(金) TOHO シネマズ 日比谷他ロードショー

久しぶりに新しいホラー映画を観た。
恋愛映画とホラー映画が一つの作品の中で同時進行していくという、なかなか想像のつかない構成で、恋愛の行き着く先によってホラー要素の意味合いが変化していく。まるでシーソーのような仕組みを持った作品である。

本作の監督マイケル・シャンクスが書いた脚本がとてつもなく素晴らしい。長年連れ添うパートナーとは、だんだん似てくるという話をよく耳にするが、その感覚を極限まで振り切った表現にすることで、本作はホラーへと転化している。
ホラーといっても、近年『サブスタンス』で話題になったボディ・ホラーに分類される作品だ。

サブ洞窟_TOGETHER.jpg

倦怠期のカップル、ティムとミリーは関係修復のため田舎へ移住する。しかし森の洞窟で遭難し、謎の泉の水を飲んでしまったことをきっかけに異変が起こる。互いの体の一部が接着剤のようにくっついたり、意識を失うと強烈に引き寄せ合ったりといった怪現象が発生するのだ。
やがて洞窟がかつてカルト教団の施設だったことを突き止めるが、二人の肉体的な「融合」は止まらない。愛と、個として生きること。その両立を賭けた極限状態へと追い込まれていく。

サブ足がくっつく_TOGETHER.jpg

本作が低予算ながら、ここまで完成度の高い作品に仕上がっている理由の一つに、主演のアリソン・ブリーとデイヴ・フランコの存在がある。実は二人は実生活でも夫婦なのだ。
役としてではなく、実際に愛し合い、互いを深く理解している関係性だからこそ、ハードなシーンの撮影もスムーズに進み、撮影日数21日という短期間で製作することができた。

私は鑑賞後に二人が夫婦であるという事実を知ったのだが、そのことを踏まえて作品を思い返すと、どこか可笑しみすら感じてしまった。あのシーンを演じた相手と、撮影後も同じ生活をしているのだと思うと、不思議な感覚に陥る。

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本作のテーマは「究極の親愛とは何か?」という問いだろう。
好きな相手と、どこまで一緒にいることができるのか。本作はその問いを、極端なまでに振り切った表現で突きつけてくる。鑑賞中は「いったい何を見せられているのだろう」と驚くようなシーンも少なくない。
しかし鑑賞後、あのシーンがあったからこそ、あのラストに辿り着いたのだとひとり回想し、物思いにふけってしまった。

2025年に公開された『サブスタンス』が刺さった人には、ぜひおすすめしたい一作である。

(文/杉本結)

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サブミリーとティム_TOGETHER.jpg

『トゥギャザー』
2月6日(金) TOHO シネマズ 日比谷他ロードショー

監督・脚本:マイケル・シャンクス
出演:アリソン・ブリー デイヴ・フランコ
配給:キノフィルムズ

原題:TOGETHER
2025/オーストラリア、アメリカ/101分
公式サイト:https://together-movie.jp/
予告編:https://youtu.be/XI0cYtdE0e4
© 2025 Project Foxtrot, LLC

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