もやもやレビュー

風呂敷を奇妙な方向に広げて一切畳まない『フューネラル 大人たちの同窓会』

フューネラル 大人たちの同窓会(字幕版)
『フューネラル 大人たちの同窓会(字幕版)』
ケイトリン・コルラー,キャリー・プレストン,ロブ・ベネディクト,キャシー・シム
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 感想から先に述べるとジャンルがスリラーなのにオチは意味不明だし、作中の登場人物も何か意味深なことを口にするのにその内容が全く物語に絡まないなど、カタルシスは全く得られない。何度も視聴したらもしかすると作中に伏線があるのかも知れないが、それを発見するために2回以上視聴するのはセルフで拷問するのと変わらないつまらなさ。ツッコミを入れながら楽しむこともできず84分を無為に過ごすことになる。

 大学時代の友人マックスが自殺し、彼の葬儀のため5人の男女が当時皆で過ごしたオフシーズンのゲストハウスに集まった。旧友たちとの再会を喜びつつも、それぞれ子育てのストレスや恋愛のトラウマ、嫉妬などの感情がわだかまりとなり以前のように本音で語り合えない事情を抱えていた。
 マックスの妻であるシルヴィアがホストとなって彼らをもてなすも、深夜に徘徊するシルヴィアの姿を目撃したり水道から血が流れたりするなど不気味な状況が続き、5人は異常を感じ始めた。そんな中、葬儀で埋葬されたはずのマックスの姿を目撃する――という内容。

 異常な状態が続いたせいか、マックスの姿を見たことで5人のうち1人が唐突に壁をハンマーで破壊。すると隠しカメラが出てきて、ゲストハウスのあちこちにも仕掛けられていた。
 そのことでシルヴィアを問い詰めると森に案内され、そこには死んだはずのマックスがいた。マックスの研究テーマは恐怖が人の脳に与える影響で、その研究に当人以上の関心を持ったシルヴィアがマックスを監禁し皆を呼び寄せ実験を行おうとしていたと告白。

 集まった5人に対し、シルヴィアが銃を突きつけ殺すと脅迫したりガソリンを撒いて火をつけようとしたりして追い詰める。その時、逃げた1人が背後からシルヴィアを射殺。
 撃たれた際、シルヴィアの持っていたマッチがガソリンの撒かれた床に落ちるも単なる水でシルヴィアの行動は何だったのかと5人は茫然自失となる。

 その後、警察が駆け付け皆は色々と聴取を受ける。その中でマックスだけは自分の妻が亡くなったのに平然としておりすべてはマックスの計画だったのか?というところでエンドロールへ。

 なぜ妻が撒いたガソリンは水だったのか、どうして実験の対象が疎遠になっていた大学時代の友人だったのか、そもそもあらすじにあった5人のわだかまりは作中に何の影響があったのか等、疑問は尽きないまま投げっぱなし。少なくとも伏線っぽく張られた設定の数々は作中に何の影響も与えず困惑させるだけ。「結局マックスは何がしたかったのか?」について納得のいく説明をしているシーンが見当たらないので無理やり終わらせたようにしか見えない。登場人物以上に制作陣が何をしたかったのかさっぱり分からずエンタメのはずがストレスだけたまる結果に。

(文/畑中雄也)

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