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前代未聞の万引き家族『ローガン・ラッキー』

ローガン・ラッキー (字幕版)
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豪華女性陣が窃盗団を演じる、オーシャンズシリーズの最新作。これをきっかけに、久々に『オーシャンズ11』を再見した人もいるかもしれない。監督のスティーブン・ソダーバーグの名を世界中に知らしめた作品だが、実はそれよりもずっと前、低予算のインディーズ映画『セックスと嘘とビデオテープ』でカンヌのパルム・ドールを獲得している。この時ソダーバーグは26歳。史上最年少での受賞だった。

ワーカホリックなソダーバーグは、オーシャンズ以前も以降もとにかく映画を作りまくっている。そのテーマは革命家、格闘家、男性ストリッパー、スパイ......。得意ジャンルなどなさそうで、その時々でどんなものも器用に取り込んでソダーバーグ節に変換させてしまう。クリエイション面でもオールラウンドで、監督や脚本だけでなく撮影や編集もするのだ。しかも、それがハリウッドの組合にばれないように、別名義もいろいろ持っている。

そんな映画人間のソダーバーグだが、2013年に監督業からの引退を宣言。活動の場所をドラマへ移していた。この先は想像が易いが、やはり数年で復帰し監督業を務めている。その作品が『ローガン・ラッキー』である。新人脚本家から「これに合う監督を探して欲しい」といわれて読んだみたところ気に入ってしまい、恥を忍んで「自分が監督をやりたい」と伝えたという。余談だが、その新人脚本家・レベッカ・ブラントというのも、インターネット上に全く情報の出てこない人物である。 (まさか、ソダーバーグの偽名じゃないよね?)

簡単にストーリーを紹介すると、仕事を失い失意の人生を送るジミー・ローガンの話である。元軍人でバーテンダーの弟、美容師の妹メリーを仲間に加え、強盗計画を立てる。「オーシャンズ」と大きく異なるのは、犯罪集団ではなくポンコツ家族なところ。お金も知識もないから、爆破のプロで服役中の変人に協力を仰ぐのだ。つい声援を送りたくなってしまう、なんとも不思議な映画なのである。

(文/峰典子)

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