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外科医から処刑人へ『デス・ウィッシュ』

『デス・ウィッシュ』 10月19日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開!

1972年にブライアン・ガーフィールドが発表した小説「狼よさらば Death Wish」の映画化作品。1974年に一度映像化されているのでそちらの作品と現代版での違いを見比べてみるのもいいかもしれない。

腕のいい天才外科医ポール(ブルース・ウィリス)はある晩、救急救命医として銃で撃たれた警察官の手術をする。力及ばず、次に向かうのは警察官を撃った犯人の手術。自分の出来ることをするまでだとポールは善人も悪人も区別することなく手術台の前に立っていた。しかし、彼の留守中にポールの妻と娘が3人組の男に襲撃される。犯人を捕まえることが出来ない状況の警察にいらだち、正義感の強いポールの怒りはマックスへと加速していく。愛する家族を傷つけられた復讐を自らの手ですべく動こうとするポール。ポールの復讐劇の結末は...。

アメリカの銃社会に対する疑問を終始問いかけ続けることになる本作。「大事な物を守りたいなら自分でやるしかない」という台詞が印象的だった。その手段が悪になるとしても抑えきれない感情。手にしようと思えば簡単に銃が手に入るアメリカという国の現状。銃を持つ社会の中で生活する状況になった時、護身用だとしても銃はごく平凡な家庭のなかにも必要な物になるのか?
日本という銃規制が厳格にされた国から出ることもない生活をしていると、銃というものの存在がどこか遠くて人ごとのようにとらえがちで自分の生活と隣り合わせには考えにくいかもしれない。
だが、世界中に存在する「銃」という存在について考え向き合うよい機会になるだろう。

爽快に敵を倒すアクション映画として楽しむもよし!
ブルース・ウィリスの勇姿を拝むもよし!
まじめに銃社会アメリカを考えるもよし!
スカッとした気分になれる作品であることは間違いない。
マニアックではあるが、エンドロールにでてくる心電図がすべて不整脈であったのは作品の余韻にひたるのにとてもマッチしていた。

(文/杉本結)

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『デス・ウィッシュ』
10月19日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開!

監督:イーライ・ロス
脚本・ジョー・カーナハン
出演:ブルース・ウィリス、ビンセント・ドノフリオ、エリザベス・シュー、カミラ・モローネ、ボー・ナップ ほか
配給:ショウゲート

原題:Death Wish
2018/アメリカ・107分
公式サイト:http://deathwish.jp
(c)2018 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All Rights Reserved.

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