もやもやレビュー

正気ではない世界観を84分間維持する力技『デッド・セクシー 幽霊セックス』

(字幕版)デッド・セクシー 幽霊セックス
『(字幕版)デッド・セクシー 幽霊セックス』
ブライアン・ニューウェル,ブライアン・ニューウェル,レックス・リッフェル,アレクサンドラ・ジョンストン,ジャッキー・ヴェーヌ,グレタ・ガーランド,シャノン・ローズ,トラヴィス・レオナール
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 タイトルでどんな映画なのか一瞬で理解できてしまうという、ある意味優れたタイトル作成力。ジャケットに記された「性に貪欲な女性たちが姿なき幽霊と繰り広げる熱く過激なセクシー・エロチック・コメディ」というキャッチコピーに偽りはない。良くも悪くもタイトルの通りすぎて驚きのラストとはならないが、基本的に「そうはならないだろう」という設定で無理やり話が進むため、すべてが驚きと言えば驚きだ。

 セクシーな海賊をコンセプトにしたレストランでウエイトレスとして働くアンバーが主人公。向こうのコンセプトカフェみたいなものか。ある日、亡くなった叔母の自宅を売却成立するまで住んでほしいと母親に頼まれたアンバーは店の同僚たちと内見に出かける。艶やかな内装や充実したワインセラーなどを気に入った主人公はその日から泊まり込む。眠っていると何者かに下着を脱がされ体をもてあそばれたアンバーは大喜び。翌日同僚のブランディやキャシー、バニーらに話をすると幽霊との性交に興味津々で再び叔母の自宅へと向かう――というあらすじ。

 主人公が幽霊からわいせつな行為を受けるというのはB級ホラーあるあるだが、「幽霊とできるなんて!」と喜び勇んで幽霊屋敷に向かう話はあまり聞いたことがない。

 お次は体が男で心は女のバニーが幽霊とバトル。幽霊の手(?)がバニーの股間に向かうと違和感に気付いて幽霊は退散。袖にされたバニーは怒って帰宅し、結局主人公のアンバーとブランディ、キャシーの3人だけが家に残ることに。

 すると幽霊は再び3人にエロいことをしに戻ってきた。アンバーとキャシーを撫でまわしつつ、Mっ気のあるブランディを縛り上げ鞭で叩くという人間には不可能な同時プレイを華麗に決める。幽霊の技に満足した3人は翌日、仕事を終えるなり叔母の自宅に直行するように。「この素晴らしい体験をほかの同僚にも味わってほしい」とばかりに同僚たちを叔母の自宅に招き大乱交を企画する。当然、同僚たちは喜び勇んで参加。この作品の世界線はだいぶヤバい。なぜ誰も幽霊と致すことに躊躇しないのか。

 しかし、このイカれた主人公たちも唐突に我に返ったのか幽霊ではなく現実の男と付き合うようになる。主人公が幽霊に一方的に別れを切り出すと、ポルターガイスト現象を起こし大暴れ。主人公が涙を流して「愛している」とつぶやくと怪異は消え荒らされた部屋も元通り。叔母の自宅が売れたのだが、購入者は幽霊と楽しんだ主人公の同僚。
 その後、主人公たちは叔母がレズビアンだったという話を聞かされ、飲んでいたワインを噴き出してエンドロールへ。

 84分を正気ではない世界観を維持したまま突っ走った力技が素晴らしい。ジャケットからエロを全面に出してはいるが、直接的なシーンは基本ないため不快感はない。バカバカしさが極まっているので暇つぶしには最適だと思われる。

(文/畑中雄也)

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