不条理を通り越して無内容さに心を殺される『ジングルベル』

- 『ジングルベル(字幕版)』
- スチュアート・W・ベッドフォード,ステュー・ヨピア,スチュアート・W・ベッドフォード,アラン・ムルホール,クレア・クロスランド,ジョニー・ハースト,ジュリア・ウォルシュ,マーセラ・ヘイゼル

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スプラッター映画に犯人の動機とか何とか求めるのは野暮ではあるが、クリスマスの日にサンタの衣装を着た3人組が裁判所跡に住み込むホームレスたちを惨殺していくだけの内容で99分は辛い。そんなに尺要らないだろう、この内容で。殺害方法のバリエーションはすぐ使い果たされ、いくら血しぶきが噴き出そうとも途中からだれてくる。殺害される側の人物描写も特にないため、よく知らないホームレスがおかしな恰好をした連中にただ殺されるだけという塩梅。短い尺で血しぶきを見せる作品なら多少は評価もできただろうが、単調なシーンを延々繰り返すだけという、クリスマスに視聴したら不毛さに世を儚んで死にたくなるだろうこと請け合える。それくらい酷い。
上記の通りの内容なので、あらすじと呼べるほどの筋はないのだが、動画配信サイトに記載されている内容によると、食料の調達のために主人公のサムがホームレスのジョンを連れねぐらとしている裁判所に戻ってきた。ロキシー、ポール夫婦などコミュニティの仲間でクリスマスを祝っているところに突如サンタクロースの恰好をした3人組が現れる。誰かの余興かと思っていたら斧や鉄パイプなどでホームレスたちを次々と惨殺し――という内容。あらすじに噓偽りはないものの、99分視聴しても上記の内容以上の話は出てこない。
サンタたちはホームレスを捕らえ、鉄パイプを額に貫通させたり夫の生首を妻に見せつけたりする。そんな残虐なサンタたちだが、飴を舐めているサンタはクリスマスソングになぜか過剰反応。それに気付いたロキシーが歌うと、そのサンタは大喜び。そんなことに付き合いサンタが隙を見せた際に目にハサミを突き刺し逃亡。そこでサムと合流する。
サムはリーダー格のサンタと格闘の末、勝利し助けを呼ぶため屋上へ出る。一方、リーダーを失ったサンタは次のリーダーの座を巡って内輪もめを始める。もみ合いの末に何の特徴もないサンタが勝利し、2人は手分けをして逃げたサムやロキシーを追う。
クリスマスソング好きのサンタに見つかったロキシーだったが、クリスマスソングを歌いリラックスした状態のサンタを刺殺。意味が分からないが、冒頭からこのシーンまで意味のある場面は皆無のため誤差である。
一方、サムは暫定リーダーのサンタに捕まり殺害されそうになっていた。そこにロキシーが現れ鉈で首を刈り取り勝利。主人公じゃなかったのか、サム。
サムとロキシーは血まみれになりながら裁判所を出ると、死んだはずのリーダー格のサンタが立ち上がりエンドロールへ。
作品は定番の設定で構成されているのになぜ冗長に感じたのかを考えると、不条理な死をもたらす存在である殺人鬼が人間味をちょくちょく出したからだと気付いた。物語の進行に必要なキャラ付けとは感じられなかったし、要らぬオリジナリティは作品を殺すのだなと別の意味で感心してしまった。
(文/畑中雄也)

