花嫁と「Puttin' on the Ritz」と『ヤング・フランケンシュタイン』
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先日公開されたマギー・ギレンホール監督の『ザ・ブライド!』は、1930年代から40年代にかけて製作されたユニバーサル映画版「フランケンシュタイン」シリーズの第2作『フランケンシュタインの花嫁』をベースとした作品だ。「花嫁」は原作小説にもアイデアは登場するものの、実際にキャラクターとして描かれたのは映画『フランケンシュタインの花嫁』が初。そのインパクトは相当なものがあったようで、以後多数の作品にパロディとして登場。直接的なリメイクとしては1985年に『ブライド』が製作されている他、原作に忠実ということが売りだったはずのケネス・ブラナー監督主演版『フランケンシュタイン』でもその影響と思しき展開がある。
しかしながら原点となる『フランケンシュタインの花嫁』での花嫁はタイトルロールでありながらもなかなか登場せず、やっと出てきたと思ったらほとんど活躍することなくすぐに映画自体が終わってしまう。『ザ・ブライド!』はそうした不遇なキャラクターに対し主体性を与え救いをもたらしてくれる。また、いまだにその名が「フランケンシュタイン」と勘違いされがちな「怪物」にも、その誤解すら前向きに取り入れるかのように「父の名前」として「フランケンシュタイン」を名乗らせる。ヒットはしなかったようだし、実際にいろいろ整理されておらずごちゃごちゃした作品ながらも、個人的には快作だった。
そしてさらに嬉しかったのは、二人が踊り出す場面で流れる楽曲が「Puttin' on the Ritz」だったことだ。「Puttin' on the Ritz」は1920年代末にアーヴィング・バーリンによって書かれ、1930年の同名映画で発表、その後カバーバージョンも多数ある有名曲。本来フランケンシュタインとは無関係ではあるのだが、しかしこの曲、1974年の映画『ヤング・フランケンシュタイン』のおかげでフランケンシュタインとは切っても切り離せない曲となっている。
『ヤング・フランケンシュタイン』はジーン・ワイルダーのアイデアをもとにワイルダーとメル・ブルックスが共同で脚本を書き、ワイルダー主演、ブルックス監督で製作された作品。フランケンシュタイン博士の孫が相続のために祖父の実験室へ赴き、自身もまた死者を蘇らせる実験に取り憑かれる、という続編的な内容でありつつ、全編にわたってユニバーサル映画版「フランケンシュタイン」シリーズのパロディが散りばめられ、ギャグ場面のことごとくがうまく機能しており、私見ではメル・ブルックスの最高傑作と言ってもいいほどだ。
さまざまなドタバタを展開しながらも孫は遺体と脳味噌を調達、祖父と同様に実験を成功に導く。彼は怪物を隠そうとした祖父と異なり、劇場でお披露目を行うこととなるのだが、その際に二人で歌い踊るのが「Puttin' on the Ritz」。劇中屈指の見せ場であり、本作を一度でも見たことがあるなら「Puttin' on the Ritz」はフランケンシュタインものの楽曲として記憶されるほどだ。
そんなわけで『ザ・ブライド!』で「Puttin' on the Ritz」が流れた際に多くの観客が反応したと思うのだが、実際にギレンホールのインタビューによれば『ヤング・フランケンシュタイン』の同場面に対するオマージュとして「Puttin' on the Ritz」を使用しているようで、ますます『ザ・ブライド!』の評価が個人的に高まるのであった。
文/田中元(たなか・げん)
ライター、脚本家、古本屋(一部予定)。
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