子供相手に嘘はいけない。『マイ・ロボット』

- 『マイ・ロボット(字幕版)』
- マリナ・アンドリー・スコップ,ドラジェン・ジャルコヴィッチ,ラナ・フランジェク,ニルス・オレ・オフテブロ,ペトラ・ポルニショヴァ,オズレン・グラヴァリッチ

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本作はおそらく低年齢層向けの作品と思われる。それをいい年した大人が見ているのだから子供が見た場合の感想とは異なる可能性が高いものの、それでも「子供だましにしても酷い」と言わざるを得ない。何しろジャケット画像のシーンが出てこないのだからご都合主義とかその他もろもろの批判以前の話だ。子供相手に嘘はいけない。
カシオペヤ座が光ったある日、主人公ウーナの祖父が行方不明になり母親が倒れる事態となった。兄と弟は母親が搬送された病院まで付き添い、父親は仕事で帰って来られないためウーナが祖父を探そうと祖父の自宅へと向かう。地下室を見つけ手掛かりを調べていると言葉を話すロボットを発見。ロボットは祖父が不老不死のカシオペヤ星人で、30年前に孤独を癒す方法を探しに地球へ来たが墜落してしまい、その際巻き添えで本来の祖父を死なせたことで体に憑依したと解説。その話を聞いてもウーナはロボットと一緒に祖父を探す冒険へと出かける――という内容。
あらすじの段階でツッコミどころ満載だが、子供向けに面倒な説明をしても気分が萎えるだけなのだろうから措くとする。
この後、ロボットはカシオペヤ星からの探索ロボットが祖父を連れて行ったと述べ、祖父を探しに出かける。しかしロボットの目的は探索ロボットとの合流であり、その際ウーナが邪魔であれば死んでも構わないくらいのことを考えていた。子供向けにしては酷いやつである。
ちなみに冒険の相棒である乗り物はおならを燃料とした自走のキックボード。子供が喜びそうなアイテムではあるが、即座にガス欠。
そこに兄から母親の容態が急変し悪化した旨の電話を受ける。電話での会話を聞いていたロボットは30年前の墜落の際に一緒にいた母親も重傷を負ったため祖父に憑依しているカシオペヤ星人が命を半分分け与え、祖父の体からカシオペヤ星人が引きはがされると母親も死ぬと説明。後出しじゃんけん感が満載の設定だ。
祖父を探しているはずなのに途中カヌーで川下りを始めロボットが転落する。それをウーナが助けたことでウーナを親友だとか言い出す。冒頭で死んでも構わないなんて思っていたロボットとは思えないくらいチョロい。
ウーナたちは何とか古城にとらわれていた祖父を見つけ救出するも途中で探索ロボットに捕まってしまう。ここでロボットはカシオペヤ星人が孤独を癒す方法が見つかったと訴える。「それは親友だ」と主張するロボットに探索ロボットたちは困惑し、その隙に逃走。
ウーナたちは母親が入院している病院に着き、祖父が命を分け与えると母親は復活するが祖父は死亡。
ロボットは探索ロボットたちとカシオペヤ星に戻ることになり最後「私は地球に落ちた上に恋にも落ちたらしい」とか大して上手くない冗談を飛ばしエンドロールへ。
作中に出てくる小ネタは子供を笑わせるのだろうが、物語としてはご都合主義ですらない設定の破綻が端々に見られた。物語だけを評価すると果たして子供がちゃんと見るか甚だ疑問な出来で、78分という短い尺なのに物語に絡まないシーンを入れすぎだった。
(文/畑中雄也)

