B級映画で作る『ジュマンジ』『ファイナル・レベル エスケイプ・フロム・ランカラ』
- 『ファイナル・レベル エスケイプ・フロム・ランカラ(字幕版)』
- キャニオン・プリンス,キャニオン・プリンス,ジェシカ・チャンセラー,エミリー・スウィート,ティアナ・タトル,ブランドン・ルート,テイラー・バーレンス
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アサイラムが『ジュマンジ』(1995年)を作ったらこうなるのかなという感想が先に出てくる。B級映画で作る『ジュマンジ』なので本家のような壮大さは皆無だが『シャークネード』のサメが出た時点でサメ映画ファンなら元は取れるのではないだろうか。いや、サメが見たいならサメ映画を視聴すればいいだけなのでやはり元は取れない気がする。
レトロなアーケードゲームを集めたバーを開業する主人公3人が「ランカラ」というゲームの世界に吸い込まれ、元の世界に戻るためサメやら恐竜やらと戦うという内容の本作。各シーンが既視感たっぷりでパクリなのかオマージュなのか考え込んでしまう。それでも蛇足になりがちな人間ドラマなどのシーンは皆無で、ゲームさながらサクサクと物語が進むため無用なストレスはない。というより、昔の格闘ゲームのエフェクトを使用しているのでその辺りの構成も敢えてのことなのかも知れない。
ゲームよろしくサメを撃退したりピラニアと戦ったりワニに食われたりしながら最終面まで進むと主人公の1人の兄がラスボスの部下として登場。ボスのもとに連れて行かれたものの記憶を取り戻した兄が秒殺でボスを撃退する。帰還用のゲートが現れ終わりかと思っていたらなぜか開かず困惑する主人公たち。すると倒されたはずのラスボスが帰れないことに怒り出し大暴れ。しかし多勢に無勢で全員から攻撃されやはり秒殺。するとゲートは開き無事に元の世界へ戻ってエンドロールへ。
何を書いているのか自分でも分からないくらい意味不明だが昔のゲームって確かにこんな塩梅でよく分からないエンディングだったよなぁと思い出させるものがある。
これが制作陣による仕込みなら芸が細かいとうなるところだが物語として面白いかは別の話。例えば「3つのライフが失われるとゲームオーバー」という設定があったものの、それが生かされた形跡は皆無。主人公の1人が2回敵に倒されるが特に死への恐怖などは描かれないため設定に意味があったのかと。そういうことを言い出せば切りがないもののアサイラム作品だし仕方がない。
面白いか面白くないかで言えば間違いなく面白くはないのだけど、冒頭で述べたように無駄な描写はないため88分の収録時間が特に苦にならない。画面に向かって突っ込みながら視聴する分には十分楽しめるだろう。
(文/畑中雄也)