勢い10割で作品の低品質をカバー『恐怖!フライング・モンキーの襲撃』

- 『恐怖!フライング・モンキーの襲撃』
- ロバート・グラスミア,H・ダニエル・グロス,マイク・キンメル,ヴィンセント・ヴェントレスカ,ボニー・ヤナギサワ,Electra Avellan,Alvin Chon,Matt Cook,Michelle DeVito,タイラー・フォレスト,David Kranig,Jaci LeJeune,マイカ・モンロー,Lee Nguyen,Brian Oerly,Michael Papajohn,Dane Rhodes,Sydney Trager,Jackie Tuttle,Zac Waggener,Ricky Wayne,Kerry Wong

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物語の流れをぶった切るように挿入される、無意味なエロシーンや冗談みたいな殺害方法、荒唐無稽な設定を強引に押し通す勢いなどなど、本作は望ましいB級映画の要素を全て揃えている。作品として面白いのかと問われると甚だ微妙だとしか答えられないが、熱量に圧倒されて物語の質はどうでもよくなってくるから不思議。繰り返し視聴するのは辛いが1回見るだけなら「何かすごかった」程度の感想を得られるのではないかと思う。
主人公のジョーンは高校卒業の祝いの品として父親から子ザルをプレゼントされる。獣医志望のジョーンは大層喜び、子ザルに「スキッピー」と名付け可愛がる。その頃から町では殺人事件が多発し、ジョーンの同級生のチェイシティとジェイソンが何かに引き裂かれたような死体となって発見された。
一方、中国ではデーモンハンターのインとホンが「ジーゴ」と呼ばれるサルに似た悪魔を退治するため森で捜索を続けていた――というあらすじ。
密猟者が中国で捕獲した動物を飛行機で輸送しているシーンから始まる。貨物室から音が聞こえ、密猟者が部屋を調べると、翼の生えたサルが密猟者に襲い掛かる。飛行機が米国に到着し、貨物室から動物を移送すると翼の生えたサルはどこかへ消え、代わりに可愛らしい子ザルがいるだけだった。
この時点で子ザルが「ジーゴ」なのだろうと分かってしまい、次々と人を殺害して回るのだろうなぁと察せられる。おそろしくベタだ。
子ザルのスキッピーがジョーンの家に来た日から、夜な夜な変身しては人々を襲いまくる。初日は保安官の娘を殺害するのだが、この娘さん襲われる前から衣服がはだけて下着が見えている。こんな塩梅でスキッピーは惨殺を繰り返すのだが、ジョーンは一向に襲われない。
場面が切り替わり舞台は中国に。インとホンがジーゴを探す中で「ジーゴは2体いる」「普通の武器で攻撃するとジーゴは増える」「2人が持つ武器は聖性があり唯一ジーゴを倒せる」と会話で説明。ジーゴは夜に危険な存在になると分かっているのになぜか探索は夜限定という不思議。日中にサルを捕まえればいいのでは?と思うが、探索中に誰も言及しない。
1匹のジーゴを倒したインとホンは、残りが密猟者に運ばれたと知り米国へ。
米国では夜な夜な狩りをするジーゴが銃で撃たれ数えきれないほど増殖。そこにインとホンが現れるがジーゴにやられ即退場。
ジョーンは2人が落とした聖なる武器でスキッピーを攻撃すると、スキッピーはただの子ザルに戻りほかのジーゴは消滅。そのままエンドロールへ。
作品の構成を間違えているのか、終盤は中盤までの派手な殺害シーンは何だったのか?と思うほどあっさり登場人物が死んでいく。駆け足にもほどがあるものの、かえってダレることなく終わりまで完走したので、ある意味成功だったような気はする。ただ、本当に勢いだけの映画のため感想を書いている現在「どうしてこの作品を少しでもいいと感じたのだろう?」という気分にはなる。
(文/畑中雄也)

