もやもやレビュー

チャールズ・ブロンソンの新規PVだと思えば楽しい『野獣処刑人 ザ・ブロンソン』

野獣処刑人 ザ・ブロンソン[DVD](特典なし)
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本作は2018年の公開でチャールズ・ブロンソンの没年は2003年だから本作の主人公はチャールズ・ブロンソンではなく、そっくりさんのハンガリー出身の新人俳優だ。
従ってサブタイトルに「ザ・ブロンソン」と謳っておきながら(原題は『Death Kiss』。おそらくブロンソン主演の『デス・ウィッシュ』シリーズから取ったのだろう。)ブロンソン要素が皆無と言えば皆無なのだが酒を飲んだ状態で視聴すると「これはブロンソンなのでは?」と思えなくもない。とは言え素面で見ると色々と粗が目立ちなかなか厳しいものはあるが......。

ブロンソン無双が延々と続く本作にあらすじらしいものは皆無ながら、本作のサイトや映画サイトなどによると、「非情の銃弾で街のダニどもを片っ端から容赦なく射殺し、退治する謎の男K。Kは幼い少女を二度と歩けない体にした冷酷な麻薬組織のボスを追い詰めていく――」という内容。内容というほどの内容がなくて恐縮だが、作品自体が延々と主人公が敵をぶちのめしていくだけなので間違ってはいない。何せ撃った銃は百発百中で、敵に撃たれても避けてもいないのに弾丸がかすりもしないというご都合主義の極みが88分も続くのだ。ストーリーと言われても困る。

麻薬組織に乗り込みメンバーをひたすら射殺し、人質もろとも殺害。逃げた麻薬組織のボスらを見つけ出して皆殺し。映画に何を求めるかで評価は分かれそうだが物語性は皆無だ。ひたすら派手に噴き出す血のりを眺めるのみ。

本作に関する当時の記事を何本か読んでみたが書くことがなさ過ぎたのだろう、本筋とは関係のない周辺情報で文字数を稼いでいた。
何のために主人公は敵を狙うのか等々の理由についてあらすじにあったよう銃撃戦で撃たれた子供のためと述べるだけ。子供やその母親と一緒にいるシーンは出てくるが別に深い交流がある訳でもなさそうな描写で動機はよく分からない。

ただ、これをチャールズ・ブロンソンの新規PVだと思えばよくできてはいる。いや、ただのそっくりさんでしかないが、酒の入っていない状態で視聴した時にそう思わないとやっていられない......。

(文/畑中雄也)

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