もやもやレビュー

無駄に原作準拠なB級映画『宇宙戦争 ロンドン壊滅』

宇宙戦争 ロンドン壊滅
『宇宙戦争 ロンドン壊滅』
ジュナイド・サイード,サム・ギティンス,アルハジ・フォファナ,ララ・レモン,レオ・スター
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 SF小説の古典『宇宙戦争』の映画をリメイクした本作は、結構な割合で原作に忠実ではあるものの、低予算が限界突破しているために元ネタ知らずに視聴したら「何て酷い映画なんだ!」と絶句すること必至。いくら原作が優れていようとも、予算がないことには映像作品なんて何ともならないのだと教えてくれる寓話のような作品になっている。

 天文学を専攻する大学生のハーバート、ハンナ、オギルビーの3人は流星を目撃し翌日落下地点に向かう。現場には多くの人だかりができて警官による厳重な警備が敷かれていたが3人は警官の目を盗んで落下した隕石に近づく。それは隕石ではなく宇宙船で、中にはスミを吐くタコの姿が。
 そこに3人の指導教官である教授が現れ、宇宙船の中の存在について話をしていると、宇宙船の機体の一部から巨大なトライポッドが出現。レーザーで人々を焼き払い始める。逃げ延びた3人は兵士のベンからイギリス軍が次々と撃破されているという話を聞き、ハーバートの母親を探しにロンドン方面へと向かう――という内容。

 トライポッドは燃料を使用する動力に反応することから移動は自転車と手漕ぎボート。街が廃墟になる中、ずいぶんと呑気な移動手段だと思うより先に「予算の関係かぁ」との考えが頭をよぎる。ロードムービーじゃないんだから。

 道に迷った3人が教会を見つけ、中に入ると「神の声を聞いた」とか言い出すヤバい牧師が登場。いきなり牧師に殺されそうになるが、トライポッドが来襲し牧師を殺害して去って行った。燃料を使用する動力に反応するという設定がいきなり崩壊してその雑さに痺れるほかない。

 翌日、兵士のベンと合流し宇宙人が地球の環境を改造していることや地球人を家畜化しようとしていることなどを聞かされ3人は地球を救うことを決意し、ロンドンへ到着した。するとベンがトライポッドに捕まり手りゅう弾で自爆。3人は下水道に逃げ込み一夜を過ごし、翌朝外に出ると宇宙人の死体が転がっていた。主人公の決意が何の役にも立たないのはどうなのかと思わぬでもない。

 どうなっているのか困惑しているところに教授が現れ、宇宙人は地球の細菌に感染して絶滅したと聞かされる。
 ハッピーエンドのような雰囲気のところから場面が切り替わり、宇宙人の産み落とした卵がうごめくシーンでエンドロールへ。

 87分の間に不要なシーンをこれでもかと詰め込み視聴者を絶句させたくせに、妙なところで原作準拠なのが腹立たしい。特に宇宙人が細菌感染で死んだ部分は原作通りなので雑であっても何も言えない。ただ、それでも難癖を付けたいので「全員同時に死ぬ細菌って何だよ?」くらいは21世紀なのだし突っ込んでもいいとは思う。

(文/畑中雄也)

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