人間の本能を炙り出す災害映画『コンクリート・ユートピア』
- 『コンクリート・ユートピア』
- オム・テファ,イ・ビョンホン,パク・ソジュン,パク・ボヨン,キム・ソニョン,パク・ジフ,キム・ドユン
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『隠された時間』のオム・テファがメガホンをとり、ハリウッドでも活躍する俳優、『G.I.ジョー』のイ・ビョンホンと『マーベルズ』のパク・ソジュンが共演した『コンクリート・ユートピア』。大災害を体感できるようなアクション作品ではなく、人間の本性や本能をリアルに描き出したスリラー作品となっています。
舞台は大地震の後、廃墟と化した韓国・ソウル。そこで唯一無事だったのがファングンアパートでした。多くの生存者が押し寄せる中、公務員で同アパートの住民であるミンソン(パク・ソジュン)と妻ミョンファは、赤の他人である幼い子を持つ親子を助けます。この先に不安を抱えていた中、アパートで火災が発生。そこで中年男のヨンタク(イ・ビョンホン)が勇敢にも火に立ち向かい、消火に成功。このことからヨンタクがこのアパートのリーダーになることが決定。住民たちは、一致団結し、住民ではない"外部者"を追放し、自分たちを守ろうとします。
しばらくの間、アパートの住民たちは、平和主義的考えで、役割を分担。しかしヨンタクが独裁者的な一面を見せ始めてからこのコミュニティは崩壊の道へと進み始めます。自分を守るためには、非道になることも時には大切なのだろうか。自分がこの震災に巻き込まれた時、純粋に他人を助けることができるのだろうか。そんなことを考えさせられた一本。純粋に人を助けようとするミョンファ、できるだけ問題は避けたいミンソン、そしてリーダーになってしまったヨンタク。彼らそれぞれの立場になって、ストーリーを見ていくと、人間の本能的な部分に触れた気持ちになれました。深くて思いドラマ作品が好きな方におすすめです。
(文/トキエス)