もやもやレビュー

祖父・息子・孫の三代で挑むモネ強奪計画 『THE FORGER 天才贋作画家 最後のミッション』

ザ・フォージャー 天才贋作画家 最後のミッション [Blu-ray]
『ザ・フォージャー 天才贋作画家 最後のミッション [Blu-ray]』
ジョン・トラヴォルタ,クリストファー・プラマー,タイ・シェリダン,フィリップ・マーティン
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犯罪映画なのに派手さがなく、むしろほっこりとさせてもらった。名画の贋作を描く天才レイは刑務所で、お勤め真っ最中の身。仮出所までわずか9ヶ月を残すのみであったが、癌であり余命いくばくかの息子と共に過ごすため、街のギャングに手を借り出所。だがもちろん、タダでは済まされない。条件として新たな犯罪への加担を約束させられていた。それは、ボストン美術館に展示されるクロード・モネの「散歩、日傘をさす女」の贋作と本物とすり替えるという計画で......。

かつては詐欺師としてならした父ジョセフ、息子のウィルも巻き込み、大胆なモネ強奪計画を実行に移す。レイ役をジョン・トラボルタが、父親ジョセフを「人生はビギナーズ」でアカデミー助演男優賞を受賞したクリストファー・プラマー、息子のウィルを「ツリー・オブ・ライフ」「MUD マッド」のタイ・シェリダンが演じる。実際に筆をとっているシーンはやぼったいし、アートを語らせるには物足りなく、サスペンス感も弱い。その分、家族愛の成分が強め。三人の雰囲気や表情が物語が進むにつれ、どんどん良くなっていく様が印象的で、とってもハートウォーミング。

再会してすぐのうちは素直になれなかったウィルも、父親の背中を見ているうちに、いつしか「最高だよ、父さん」なんて言い出すくらい、笑顔を見せるようになっていく。いやしかし、ジョン・トラボルタってこんな精細な役もできるんだ、なんて思ったり。(ヘンテコな邦題ではあるけれど)良いものを見せてもらったと、気分よく終えられるはずの一本。

(文/峰典子)

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