もやもやレビュー

人情か倫理か。 アフレック兄弟が描く誘拐事件の是々非々 『ゴーン・ベイビー・ゴーン』

ゴーン・ベイビー・ゴーン (字幕版)
『ゴーン・ベイビー・ゴーン (字幕版)』
ベン・アフレック,ショーン・ベイリー,アラン・ラッド・Jr,ダン・リスナー,アーロン・ストッカード,エイミー・ライアン,ミシェル・モナハン,エド・ハリス,ケイシー・アフレック,モーガン・フリーマン
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私情に流されず、立場にとらわれず、物事を冷静に判断することを「是々非々」という。幼い子どもの誘拐事件という、誰がどう見ても善悪がはっきりと色づきそうなこの物語、なのに、それを目の当たりにする私は是々非々で判断することが難しくなってしまった。子どもは親と一緒にいるべき。法を犯したものは裁かれるべき。しかし、果たしてそれがいつでも正しいことなのだろうか。

ある日、シングルマザーのヘリーンの娘アマンダが誘拐される。警察の捜索に限界を感じたへリーンの兄夫婦は、街に詳しい私立探偵のパトリックとアンジーに捜索を依頼。一方、市警側も二人に協力を持ちかける。そんななか事件は意外な展開を見せ......。

ミステリー小説『愛しき者はすべて去りゆく』を原作に、兄ベン・アフレックが監督として、弟ケイシー・アフレックが主人公パトリックを演じたこの作品。パトリックの幼馴染で公私のパートナーであるアンジーを『ミッション・イン・ポッシブル』でお馴染みのミシェル・モナハンが。そしてモーガン・フリーマンやエド・ハリスら渋オジが脇を支えている。

ぬるぬると引き込まれる演出がとても素晴らしかった。個人的に、ベン・アフレックが目をつける企画はどれも大きくハズレないし良作が多いと思っている。ベンとマット・デイモンの制作会社「Artists Equity」の新プロジェクトはキリアン・マーフィー主演の歴史小説の映画化だとか。これも心して待ちたい。

(文/峰典子)

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