大統領暗殺から四日間の夫人を描ききる 『ジャッキー ファーストレディ 最後の使命』
- 『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命(字幕版)』
- ナタリー・ポートマン,ピーター・サースガード,グレタ・ガーウィグ,ビリー・クラダップ,ジョン・ハート,リチャード・E・グラント,キャスパー・フィリップソン,パブロ・ラライン,ダーレン・アロノフスキー,ミッキー・リデル,フアン・デ・ディオス・ラライン,スコット・フランクリン,アリ・ハンデル,ノア・オッペンハイム
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カラフルなカラーがトレンドの兆しを見せるとき、ファッションアイコンとして必ず名前が上がる一人が、第35代アメリカ合衆国大統領ジョン・F・ケネディ夫人である、ジャッキーことジャクリーン・ケネディ・オナシスである。エレガントなウェディングスタイル。ショートパンツで過ごすサマーバケーション。外交先で着こなすシャネルのスーツ。生きていれば今年で95歳、それでもなお影響を与え続けている。
ジャクリーンは、1929年ニューヨーク生まれ。資産家の両親のもとで育ち、2歳の誕生日にはマスコミデビュー。大学に入学するやいなや社交界へ。いくらでも甘えられる環境にいたように思うが、彼女が目指したのはジャーナリストだった。『VOGUE』主催のエッセイコンテストで優勝し、ワシントン・タイムズに就職、インタビューカメラマンの道へ。ジョン・F・ケネディと知り合ったのも記者時代に出席したパーティの席である。
ナタリー・ポートマン主演の『ジャッキー ファーストレディ 最後の使命』では、そんな華々しい経歴をすっとばし、夫であるケネディ大統領が暗殺されてからの4日間のみに焦点を当てている。地獄に落とされながらも、葬式をどうするか、これからどうやって生活していくかといった、リアルな決断を迫られ続ける。悲しむ暇もないのは一般人と何ら変わらない。
ケネディ暗殺を描いた映画は多くあるも、夫人の視点で描くのは新鮮。本作ではジャッキーの衣装も完全再現し、ファッショニスタとしての彼女の魅力も楽しむことができる。彼女のその後とはというと、ギリシャの富豪と再婚、さらにはニューヨークで編集者として活躍していく。そんな人生の後半をナタリーが演じる様もまた見てみたい。
(文/峰典子)