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ジャケットの情報をいろいろと裏切る『キング・アーサー 英雄転生』

キング・アーサー 英雄転生 [DVD]
『キング・アーサー 英雄転生 [DVD]』
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 本当は同時期に公開されたガイ・リッチー監督の『キング・アーサー』を視聴するはずだった。「キング・アーサー」と検索したら『キング・アーサー』と本作が出てきて「確か転生モノだったよな。英雄転生とあるしこっちだろう」と選んでしまった。視聴後に配給元を見たらアサイラム。意図せず彼らの思惑に引っかかった自分が腹立たしい。

 アーサー王は魔女モルガナとの戦いに勝利し、モルガナの息子モードレッドとともに宇宙へ封印。現代のタイで復活したモルガナとモードレッドはアーサー王と円卓の騎士の子孫たちから聖剣エクスカリバーを奪取し世界征服を目論む、という内容。ジャンルはSFアクション・アドベンチャーらしい。「SFとは?」という気分になるが。

 何せモルガナとモードレッドが聖剣の痕跡をたどった先はマッサージ店で、しかもそこにあるのは聖杯。店の女が2人から逃げた場所は円卓の騎士の末裔であるベン(多分主人公)が集まった武道大会の会場という塩梅。そこに現れたモードレッドは大きな口をたたいて即座にボッコボコにされるし、おまけにベンに対して泣き言を言いだす始末......。さらには謎の女が突如ベンを銃殺して聖杯で生き返らせるというところまで視聴して困惑はさらに深まるばかり。なお、このあと重火器が出てきたりゾンビが出てきたり、キテレツな火を吹く人型ロボットまで出現する。

 文章にするとふざけているような内容だが、視聴している最中には大きな違和感がない。何なら妙な感動さえ覚える。多分、荒唐無稽でも出演者が全員真面目に演じているせいだろう。CGなどがしょぼいのは低予算映画の宿命なので目をつぶるとして。

 ちなみにジャケット写真のようなシーンは冒頭から最後まで視聴していたのに一瞬たりとも出てこなかった。「どうしてそういうことをするのかな?」という騙された感はぬぐえないが、それを差し引いても面白い映画と言えるのではないだろうか。もう1回視聴したいかと問われたらごめん被りたいが......そう言えばタイトルに英雄転生とあるのに誰も転生者はいませんでした。

(文/畑中雄也)

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